指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

村上づくし。

 Brutus誌の村上春樹特集を少しずつ読んでいる。そして今は村上RADIOの第二回目の放送分の再放送を録音で聴きながらこれを書いている。トークの時は手を止めて耳を澄ませ曲が始まると聞き流しながら文を書く。ある意味突然村上づくしの日々が始まって自分でも驚いている。Brutus誌の方から触れると「村上春樹の私的読書案内。 51 BOOK GUIDE」で取り上げられてる51タイトルのうち僕も持ってるのはわずかにリチャード・ブローティガンの「アメリカの鱒釣り」と小島信夫さんの「アメリカン・スクール」のみ。読んだことがあるのまで含めてもこれにアンドリュー・ターンブルの「完訳フィッツジェラルド伝」と原書が取り上げられてるけど村上さんご自身の訳で読んだレイモンド・カーヴァーの「僕が電話をかけている場所」が加わるだけだ。でもこの51タイトルは現時点であまり考え込まずにさらっと選ばれたものなんじゃないかという気がする。もっと重要なタイトルもあっていいはずだ。今ゴリラズというバンドの曲がかかってるけどこれおもしろいな。後でちょっと調べてみよう。村上RADIOの方は僕にはコレクター気質があるせいか全部録音してとっておこうと思ってとってるんだけどやはり曲というのはタイトルを聴いたら頭にそのメロディーが流れてくるくらいには聴き込まないと楽しめないんじゃないかと思うのでそのためには繰り返し聴いた方がいいような気がする。曲を手に入れるとはダウンロードにせよCDにせよ何かを録音するにせよ繰り返し聴くことを前提としている。だからラジオの場合でも録音しといて繰り返し聴いた方がいいんじゃないかと思う。一度聴いただけで雷に打たれたようにこれはいいなあと思う場合もないではない。個人的には坂本龍一さんの「Merry Christmas, Mr.Lawrence」なんかがそれに当たる。でもそれは本当にレアなケースでなんかよくわかんないものを繰り返し聴いてるうちにその魅力に気づくというのも音楽の大切な聴き方のように思われる。たとえば村上RADIOの他の回でかけられたデューク・エリントンの「スタークロスト・ラヴァーズ」やビーチボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」なんかは三回くらい聴いたのでだいぶ頭の中にメロディーが残っていてなるほどこれはいい曲だなと思い始めている。若い頃ならここからこれらのアーティストの他の楽曲に手を広げるところだったろう。でも今はそういう元気はなさそうで残念と言えば残念だ。明日からも金曜日まで村上RADIOの再放送がある。大切に聴いて行くことになる。