指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

カウントダウン。

 長い目で見るとそれがどんなに不利なことかどれほど声高にアナウンスされようとも年金は六十歳から前倒しでもらおうと決めている。前の会社を退職してから非課税世帯になったので年金の支払いが全額免除されてたんだけど今年になって急に免除が不可になったと知らせて来たことは前にも書いた通りだ。その辺についてはもう一度調べなければならない。でもとりあえずちょうど一年後から年金の受給ができる。365からのカウントダウン開始だ。前倒しの受給ではねんきん定期便に書かれた額より何割か差し引かれることになるらしい。それでも二十年ちょっとにわたって六百万円あまり納めているので最低でも元は取りたい。月六万ずつ受給したとして百ヶ月経たないと元が取れない。八年四ヶ月だ。この場合六十歳からの受給で六十八歳四ヶ月にならないと元が取れないということになる。それまでに死んでしまえばこれはもう諦めるしかない。それより長く生きられたら生きられた分だけ払ったより多くのお金がもらえる訳だ。まあ月に六万円ももらえるのかどうかは不確かながら。六十歳で受給を始めると六十五歳から受給を始めた人と比べて八十歳過ぎに総受給額で追い抜かれるそうだ。勝手に追い抜いて行けばいい。誰かと競争する生き方なんて十年前にはっきりとそれ以前からもなんとなくやめている。僕はどんな人とも関係のない場所を見つけてそこで子供と家人と少数の大切な人々だけを守りながら暮らして行く。