指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

母親の持病。

 余程のことがない限り電話してこない母親が昨日電話してきて持病が進んで目も耳も急速に悪くなったと言う。その病気に関する記事を新聞で読んだことがあってそれによるとある大学病院にはその病気を専門に扱う科がありそこでは月に一本注射を打つことによって症状を随分緩和することができると書いてあったと続ける。一本四万円くらいかかるんだけどそれくらいならなんとかなりそうなんで調べてくれないかということだった。それでその大学病院のその科のサイトを見ると治療の理念とかそういうのは書いてあるけど具体的な治療法については表示が見当たらない。検索エンジンで病名と「注射」とその大学名を並べて調べてもあまり有効な情報にはたどり着けなかった。じゃあと思って実家は読売新聞をとってるので読売新聞のサイトへ行って検索するとそれらしい連続記事のタイトルが見つかった。よかったと思って読もうとすると会員登録しないと読めないという。面倒だったけど会員登録して当該記事を表示させようとするとその記事は新聞をとってる人限定のものというだった。そこで諦めかけたんだけど考えてみれば実家が会員登録したことにすればいいということに気づいて父親が亡くなってすでに一年半が経ってるけど新聞の契約者の名義変更なんてしてないだろうと当たりをつけて父親の名で会員登録してみた。すると当該の販売店にその読者が実在するか確認し確認が取れ次第会員になれるみたいなことを言う。なんだよすげえアナログなことやってんなあとちょっとあきれる。父親の認知症の症状が進んだ後コロナ禍に入ってしまい母親にももう随分長い間会ってない。言うのも愚かだけどそれでも親の老いという問題は子供にとってどこまでもついて回る。もちろんできるだけのことはしてやりたいと考えている。