指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

困り果てる。

 塾からの収入が減って他にもうどうしようもなくなって今のバイトを始めてからもうすぐ一年になる。今月さらに生徒さんがふたり辞めることになった。いずれも学習障害のある生徒さんだ。大手の進学塾ならそういうことはないだろうと思うけど落ち穂拾い的に生徒さんを集めてるうちのような小さな塾には結構な確率で学習障害のある生徒さんが入って来る。学習障害というのは僕は専門家じゃないのでよくわからないんだけどたぶん勉強を教えてもらってるうちに改善するという類いのものではない。それ相応の専門的な治療なりケアなりが必要なはずだ。でも前にも書いたように保護者が自分の子の学習障害を認めるケースというのは極めてレアだ。そうである以上塾側が保護者に向かっておたくの子は学習障害が疑われるとは絶対に言ってはならない。逆鱗に触れる恐れがあるしそうでなくとも塾の落ち度を生徒に転嫁してるように思われかねないからだ。なのでどうせ成績なんて上がらないんだろうなと思いながらも他の生徒さんと同じように扱うし成績が上がらないから辞めると言われればはいそうですかと辞めてもらうしか手がない。でも実際問題ふたりいっぺんに辞められると生活費に重大なダメージを喰らってしまう。今のペースでバイトしててはとてもまかないきれない。バイトの時間を増やすかもっと割のいいバイトを探すかするより他ない。それで12月分のシフトは今からじゃもうどうにもならないので1月のシフトの希望を何割か増やすことにした。それでも家人に手渡す生活費は少し減らす必要がある。うちの場合かなり質素には暮らしてるものの切り詰められる部分がない訳でもないのでそこは協力してもらうことにした。それと月に数万円分今より多くバイトすればうまくすると切り抜けられるかも知れない。まあ体力的にはかなりきつくなりそうだけど仕方ない。と昨日まで思っていた。そしたら昨日何ヶ月ぶりかで体験授業の申し込みがあった。前にも書いたけど本当に不思議なことに誰かが辞めると他の誰かが入って来ることになってる。もちろんそんな訳ないんだけどね。とりあえず無事成約になるよう体験授業がんばろう。それとふたり辞めるんだからもうひとりくらい申し込みが来ないかなあ。