指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

なんかちょっと疲れた。

 明日は持病の薬をもらいに行くつもりだったんだけど今週はなんかちょっと疲れたので見合わせることにした。数えてみたら来週まで薬保つし。何が疲れたかって言うと自分でもよくわからない。ただ疲れた。まあそういうこともあるだろう。という訳で明日はバイトがお休み。今日まで九連勤だったかな。風邪もやっとよくなったみたいだ。明日の午前中はゆっくりしよう。予報では雨みたいだし。昨日の体験授業のおうちからは今日のところ連絡はなかった。気長に待つ。待つのには慣れてる。好きにはなれないけど。バイト先の最高齢のデタさんの奥様が亡くなったんだそうだ。今日バイトから帰った後グレートマザーまーさんからラインが来て知った。ちょっと言葉を失った。それだけ長く共に歩んできた連れ合いに先立たれるってどんな気持ちなんだろう。想像がつかないし正直あんまり安易に想像できてもいけない気がする。家人と僕ではほぼ確実に僕の方が先に旅立つと思うので家人を失う悲しみは体験しなくて済みそうだ。でもその分僕を失う悲しみを家人には体験してもらわなければならない。なので家人をひとり残すのをできるだけ先送りにする必要がある。泳いでるのもそのためのささやかな努力のひとつだ。これは時間を貯金してるってことなんだなとときどき思う。毎日泳ぐための三十分を積み立てて先行きどれくらい利子が付いて時間が返ってくるか。もちろん泳いだ場合の寿命と泳がなかった場合の寿命を比較する術はないんだけど泳ぐことが死をできるだけ向こう側に遠ざけるための時間稼ぎになってればいいなと淡い期待を寄せている。家人との時間をできうる限り延ばすこと。そのために全力を尽くすこと。それが僕の夫としての最後で最大の努めなんじゃないかと考えている。もうひとつ気にかかるのは僕が死んだ後家人に残せる資産のことだけどそれについてはまたいつか。
 今日のスイムは26分36秒で千メートルと若干スローペース。でもこれくらい時間をかけると半永久的に泳ぎ続けていられるような気がしてくる(もちろんただの錯覚)。疲れを感じることもなければ息苦しさもなく壁が近づけばターンしまた壁が近づけばターンしの繰り返し。ターンは正直面倒だけどやりようによっては少しだけ休めて野良スイマーにとっては敵と言うよりは味方なんだろうな。ターンがなかったら千メートルは今よりはるかに長く過酷な距離となるだろうから。クイックターン覚えたいけどあれって余計に体力を消耗するような気がするんだよね。見ててかっこいいけどね。明日はバイトが休みなので遅めに泳ぎに行っても大丈夫。久々に時間を気にせず泳ごう。