指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

午前中フルでバイト。

 腰痛のまーさんの代打で午前中はフルでバイト。メンツは群れるのを嫌うサコちゃんと最近入った学生さんの男の子。サコちゃんは言うまでもなく真面目だし仕事ぶりもとても信頼できる。もうひとりの男の子はいい子なんだけどちょっと気が利かない。でもまあつつがなく仕事は進む。授業があるということで途中で男の子が帰った後は三十分だけサコちゃんとふたり態勢。ふたりのときは水中点検に入らなくてもいいことになってるんだけどあんまり暑いのでサコちゃんに断って入る。その代わり上がってからの休憩はなし。すぐに次の仕事に取りかからなければならない。シャワーを軽めに済ませて手早く体を拭いてからプールサイドに戻る。その前に水分補給しようと詰め所の自分の荷物を置いてある机のところまで行くとプール監視じゃない別の仕事のために来ていた自称イケオジの中年男オックスが机の前の折り畳みイスにどっかと腰掛けて社員と話している。そいつの向こうに僕の荷物が置いてあるので取るのに邪魔ったらない。無理矢理取ったんだけどよけるでもなく偉そうに足を広げて話を続けている。こういうところにこの男の本性が現れてるんだよなと思う。不遜なんだよお前は。まあ学生さんはだませてもオレの目は欺けないけどな。その後プールサイドに出てサコちゃんのところへ行くとオックスを指さしてあそこであの人は何やってんですかと尋ねる。いやなんか社員さんと話してるみたいだよと答えると話なんかしてないでこっち手伝えよとか思っちゃいますよねふたり態勢だって見ればわかるんですからと言う。まあ今日はプール監視業務のために来てるんじゃないから手伝えとまでは思わないけどサコちゃんの言うことはもちろんすごくよくわかる。要するに人が一生懸命働いてるのにそんなところでこれ見よがしに休んでんじゃないよってことだよね。サコちゃんは別の話もしてくれてそれによると今日途中で帰った男の子とオックスの息のかかったんぶちゃんと彼女との三人でこの前またランチに行ったんだそうだ。懲りずにそんなのに行く君も悪いよと思ったんだけどとにかく行ったらその後寝込むほど疲れたと言う。前にも書いた通りんぶちゃんには自分さえよけりゃいいというところがあるので個人的には苦手だしまったく信用してない。サコちゃんは当初んぶちゃんと仲良くなりたいという気があったらしい。でも彼女にはきちんと愛されて育った人に特有のなんて言うかある種の余裕みたいなものがあるし僕に言わせりゃなんなら人を踏みつけにしてでも我を通さないと気が済まないんぶちゃんとは初めからうまく行く訳がない。んぶちゃんのそのガツガツした感じは瘴気のように彼女のまわりに漂っていてそういうのに敏感な人を常にうんざりさせ続けるだろう。そんなものにサコちゃんが耐えられるはずがないしもちろん耐える必要もない。ということでオックスとんぶちゃんは類友なんだねというのが今日の結論なのかな。茨木のり子さんの詩の一節を引いておきたい。

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

 今日のスイムは千メートルに26分05秒かかった。しかたない。千メートル泳いで百ページ読んで千字書いたので三冠達成。