指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

そんな時間はない。

 プールに来る常連さんの中には毎日二時間も三時間もそこで過ごす人たちというのがいる。プールというのはある意味社交の場でもあるのでプール内でウォーキングをしながらだったりプールサイドのベンチに腰掛けながらだったりして話し込む人たちというのも頻繁に見かける。泳いだり話したりプールサイドでストレッチしたりとかを組み合わせればそれだけの時間プールを楽しむことは可能だ。たいていは結構なお年寄りだけど中には若い人もいる。この前バイト仲間の学生さんから毎日午前中プールに泳ぎに来てる人っていったいどういう仕事してるんでしょうねと本当に不思議そうに尋ねられた。僕にもよくわからない。まあ主婦の人は別にしてあとは年金暮らしのお年寄りとか夜のお仕事の方(飲食店経営とはっきりわかってる方がおひとりいるし僕もまたほぼ夜の仕事だ。)とか外資系でいまだにリモートワークかそういうことになるんじゃないかと思う。それで思うのは皆さんプールにすごい時間を割いてるんだなあということだ。もちろんあさいちで来て十数分泳いだだけで帰ってしまう常連さんとかもいる。まったく泳がずにウォーキングだけして帰るお客さんもいる(これは結構いる。)。そんな風にいかにも短い時間の中で運動しに来ましたよという方々も散見される。でもまあそれはそれとして二時間も三時間もいるお客さんを見てると違和感を禁じ得ない。僕にはそんな時間はないからだ。最近いろんなプールで泳いだけど結局僕にとって泳ぐというのはノルマであって社交でも楽しみでもなんでもないということが改めてわかった。それって不幸なことなのかも知れないな。まあそうなることは薄々気づいてたしこのまま続けて行くしかないんだけども。今日のスイムは25分35秒で千メートルとほぼ最悪に近いぜ。