指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

例によってわかりづらい話。

 昨日のこと。バイト先の社員で元シフト係であるしーちゃんからラインが来て日曜日(つまり今日)のシフトについて人員が余ってるので午前中一時間削ってもいいかということだった。正直言って昨日も今日も九時間半ずつシフトに入ってるのでさすがにきつくて一時間減らしてもらえるのはどちらかと言えばありがたい話だった。ただしちょっとひっかかることがあった。今のシフト係であるトメさんとのやりとりのことだ。今月のシフト希望をまとめて提出した際に日曜日は終業より三十分だけ早く帰れるように希望を出していた。土曜日は終業までいるようにしてるんだけど土曜日日曜日と二日連続で終業までいるとすごい疲れるからだ。たかが三十分の話なんだけど終業までいると締めの作業をしなければならずこれがなかなか大変な訳だ。そのためか最後の三十分だけ時給がちょっとだけ高く設定されている。でも僕としてはそんなわずかな時給アップなんて諦めてでも三十分早めに帰りたかった。そこへトメさんから人手が足りないから日曜日もラストまでいられないかと打診された。僕はこの人が好きでも嫌いでもないけどこの人がシフト係になってから受付の楽な仕事に回されることが飛躍的に増えたのである意味でとても感謝している。困ってるなら力になりたい。だから快諾した。そのいきさつを何も知らないだろうしーちゃんから会社の都合というだけでよりによってシフトを延ばされたその日について今度は人が余ってるからシフトを削りたいと言って来た訳だ。おそらく僕がシフトを延ばすことに同意したことを知ってるトメさんならそんなことは言えないだろう。だからしーちゃんにラインを返しトメさんと僕のこれまでのやりとりを把握した上でそういうことを言ってるのかと尋ねてみた。しーちゃんからはその後四度ラインのメッセージが来たけど四度とも送った後で削除されていた。ここで誤解して欲しくないのは僕は自分の言い分が百パーセント正しいともあながち考えてなかったということだ。いやトメさんとお前のいきさつなんて知らない。会社都合なのだからここは一時間削らせてもらうともしーちゃんは突っぱねることができたしそう言われればこちらもはいそうですかと従うしかなかった。それくらいのことはわきまえてる。ただこちらとしてはたかが一時間と言えどもそれは後々の無数の一時間の皮切りに思えた訳だ。ここでこの一時間削られるのを許したら同じようなリアリティーで今後も一時間ずつ繰り返し削られかねない。だから今は主にトメさんとやりとりをしてるんだから元のシフト係だからと言ってトメさんのいないところに横から割り込んできて会社都合を通すのって筋違いなんじゃないのと言っておきたかった。ことシフトに関する限りトメさんとの間には物語がある。しーちゃんとの間には今はない。その物語をそれなりに重要なものと思ってもらえるか否かというのがしーちゃんに返信した問いの意味だ。
 昨日夜のシフトに入るとすぐにしーちゃんがやって来て削りたいという申し出を引っ込める旨話があった。トメさんに確認して事情がわかったらしい。それで直に謝りに来るというのはしーちゃんのいいところだ。でもこの人は変わっちゃったなと思う。前はもっとずっと優しかったのにね。