昨日泳ぐのを休んでしまったし今年も泳げる日にちは限られて来たのでとりあえず残りは全部泳ぎに行こうと思って朝出かけた。訳あって時間ぎりぎりになってしまったので急ぎめに泳いで千メートルを24分28秒。スピードとしては大したことないけど最高の心拍数は153と高かったので自分なりには結構負荷をかけて泳いだことになると思う。タイムカードに刻印したのは出勤時刻の二分前。これほどぎりぎりになったのは初めてだ。でもとにかく千メートル泳ぎ切れたのはでかした。それから朝の作業をするうちにひどく寒いことに気づいた。寒けがするというのではなく実際に寒い。プール内の室温はこのところ二十八度くらいで真夏の三十三度とかに比べればだいぶ低くなってる。でも昨日まで同じ室温の中で仕事してて特に寒いと思うことはなかった。それが今日に限ってとても寒い。滅多にないことだけど監視室で休んでる間は長袖のユニフォームを着てエアコンを暖房にして温まる。それでも監視台に上ったりプールサイドの見回りをしてるときにはひたすら寒い。熱が上がるときに似てたのでてっきりなんらかの理由で熱が出てきたんだと思った。でもそれにしてはのども痛くないしその他の症状もない。ただ寒いだけだ。水中点検の前後に熱いシャワーを浴びても効果はなくてそれどころかシャワーを浴びながらひざががたがた震える始末だ。体を拭いて乾いた水着に着替えるといつもならぽかぽかして眠気を誘うほど気持ちいいのに針で全身を突かれてるようにちくちくと寒さが沁みる。それでもとにかく仕事には支障が出ないようにやるべきことはやる。水中点検をし大量のビート板を片付け大きな声で挨拶しお客さんの質問に答える。仕事が終わる一時間ほど前に最悪の状況は抜け出せたみたいで寒いことは寒いけど不快さが幾分軽減した。自分では熱が上がりきったんだなと思った。もちろん熱があるのはありがたくないけど四六時中寒いよりはいくらかマシだ。それで定時になったので着替えて帰った。
今日は三十分早く仕事が終わるので家人とスーパーで待ち合わせて一緒に買い物することになってた。身内にまだ若干の寒さを感じながら急いで歩くと少しだけ汗が出て来る。汗が出れば熱は下がると思って一生懸命歩く。家人と落ち合い今日の症状について話すとすぐさま帰った方がいいと言う。でも家人との買い物は現在本当に数少ない気晴らしのうちのひとつだ。だからそう言って店内を一緒に見て回る。食べたいと思ってたグリルしたチキンもまんまと店頭に並んでて普段の買い物からするとややお高めだったんだけど買い物かごに入れる。夕飯の仕度の他に前に触れたことのあるスパークリングワインの缶も一本買った。僕はこれが結構好きだ。
帰宅してシャワーで丁寧に体を洗い着替えて体温計で測ると熱はまったくない。だからなんであれほど寒かったんだか皆目見当が付かない。特に原因はなくただ単に寒かったとしか言いようがない。子供と三人で食卓に向かうとチキンはとてもおいしくてスパークリングワインにもよく合う。クリスマスイブの気分を少しだけ味わえた。昼食はスーパーで落ち合う前に家人がひと足先に出かけて買って来てくれたいつものお弁当。昼寝の後少し時間があったのでアレクサにワム!の「ラストクリスマス」と桑田佳祐さんの「白い恋人たち」をリクエストして曲に合わせて一緒に歌った後ユーミンの「ロッジで待つクリスマス」を聴いてるうちにグラスの縁から水があふれるように涙が出て来て止まらなくなった。何が悲しいのかわからない。そもそも悲しいのかどうかすらもよくわからない。ただもしかしたらオレは結構ヤバいところまで来てるのかも知れないとそのとき気づいた。なんぼなんでも忙しすぎる。今日も顔見知りのお客さんに「お休みあるんですか?」と不意に尋ねられて施設の年末年始の休業のことを言ってるんだろうと思って年末は十二月二十・・・と言いかけたところでさえぎられて「いやあなたはお休みあるんですか?いつ来てもいらっしゃるようですが。」と言われた。その人はウィークデイの午前中の他に土日はお孫さんを連れたりして夕方の時間帯にもプールに来ることがある。悪いことに土日は午後もシフトに入ってるのでいつ来ても僕がいるような印象を与えてしまったらしい。つか実際にいるんだけどね。
塾へ出かける前に家人がキスしてくれた後しっかり抱きしめてくれた。疲れ切った命をこの世につなぎ止めようとするかのように。