「成瀬は信じた道をいく」はすでに子供の大学の図書館で借りてきてもらって随分前に読んだ。それが区の図書館にリクエストしてたのが最近届いたのでもういっぺん読んでる。二度目でもカタルシスが結構あっておもしろい。成瀬あかりと関わる人々が順番にそのお話の主人公もしくは語り手になる構成も危うい雰囲気を醸し出しつつもこれまでは破綻なくうまく行ってる気がする。こういう細部へのこだわりというのはなんとなくハリー・ポッターを思わせる。どちらも細部を充分に考え尽くしてつくり込む時間が筆者には与えられていたんじゃないかと想像する。
「フランシス子へ」はユーズドをアマゾンでキープしてたら他に教材が必要で発注したときに同時に発注になっちゃったらしい。送られて来た教材の中に紛れ込んで入ってたのでびっくりした。図書館で借りたときに繰り返し二度読んだんだけど思わずもう一回読んじゃった。それでやっぱり味わい深い本だなという思いを強くした。もちろんどなたにでもお勧めできるという性質のものではないかも知れない。でもこういうのはたとえひいきにしてたとしても寡作な著述家の場合は決して手に入らない感慨じゃないかと思う。たとえばずっとファンでいる新井千裕さんの場合はこういうことは起こりようがないもんね。寡作だからね。それに新井さんもプロフィールからするとすでに七十代に入られたし新作を期待するのもなかなか難しいんじゃないかと思う。そんなに長い時間が経ったんだなあ。
(僕が買ったのはこの文庫版じゃなくて単行本版です。その装丁の方が趣深いので気になる方は検索なさってみて下さい。)

