指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

そういうことはやめて欲しい。

 バイトはグレートマザーまーさんと元お客さんだった泳ぎのうまいタケさんと一緒だった。ただ最初の一時間だけまーさんが受付業務に回されてたのでその間はタケさんと僕のふたり態勢のはずだった。そのつもりで段取りを組んでたら仕事が始まって十五分ほどして突如うっちゃんがやって来た。うっちゃんは僕より古株の三十過ぎの女性でお嬢さんがまだ二歳にならない。以前のエントリでバイトはまーさんとうっちゃんと組むのがいちばん安心できると書いたことがあるので覚えてお出での方もいらっしゃるかも知れない。僕らの驚きをよそにうっちゃんは一時間だけ人手が足りないと聞いて急遽シフトに入ることにした旨話してくれた。そして僕の顔を見るなり○○さん(僕のこと)またやせました?と尋ねる。やせたということなら確かに体重はゆるやかに減ってる。もっとも一キロくらいの増減はざらにあるので瞬間的なことを言えば増えたりもする。でも長いスパンで見ればまあ減少傾向にはある。だから言うほどの減り方じゃないですけどねと答えると働き過ぎですよーと言う。これには話を聞いてたタケさんもなんかやつれてますもんねとか口を揃える。うっちゃんは続けてこの前の三十三連勤のことで以前のシフト係だったしーちゃんと今のシフト係のトメさんに直にクレームしに行ったと言う。働かせすぎなんじゃないのもう少し休ませてあげればという論旨だったみたいだ。そう言えばちょっと前わざわざ僕のところにやって来たトメさんに三十連勤とかになっちゃってすいませんでしたと謝られたことがあった。それってうっちゃんのせいだったのか。ただ僕のつもりとしては少々話が違ってくる。連勤の話をすると相手によっては結構ウケたりするので座興と思って話すことはある。でも連勤だからつらいとはたぶん誰にも口にしてないはずだ。もちろん連勤がつらくないかと問われればそりゃあまあつらいという答えになる訳なんだけどそういうシフト希望を出してるのは他ならぬ僕だしつらい位に働けば暮らしは楽になるので自分の中では単に正当な取引が行われてるとしか考えられてない。だから僕のことを気遣ってもらえるのは本当にありがたいと思う一方ででも仕事が減るような方向になりかねないことを上の人に言わないで欲しいというのも本音だ。もっともトメさんは自分が謝ったことなんか忘れたかのように今も十六連勤組んでくれてるので心配は無用みたいなんだけどね。あっこれは皮肉ね。
 夕方空き時間があったので家人とサーティーワンアイスクリームを食べに行ったらなんかキャンペーン中でものすごく混んでたので断念。ならばアイスティーでも飲もうとマックに行くとここもまた長蛇の列。しかたないので最寄りの駅まで戻って駅前で買い物して帰る。日中に比べて気温もだいぶ下がり意外に湿度も低くて気持ちのよい夕暮れだった。そんなことがなんだかとても幸せに思える。