「神田川」で有名なかぐや姫のメンバーだった伊勢正三さんと猫というグループのメンバーだった大久保一久さんがそれぞれのグループの解散をきっかけに組んだのが「風」というデュオ。おそらく最大のヒット曲はデビューシングルとなった「22才の別れ」じゃないかと思う。1975年の話なのでこの段階ですでによくわからない読者の方には申し訳ありません。僕はこの「風」というデュオが結構好きだ。ビートルズよりもその解散後につくられたポール・マッカートニー&ウィングスの方が好きなようにかぐや姫よりもその解散後に組まれた風の方が好きだ。理由をひと言で説明するのは難しい。ただ「神田川」の世界よりはるかに切なく淡いのが風の世界だという気がする。そこがとてもいい。伊勢正三さんと言えば「なごり雪」や「雨の物語」や「海岸通」をイルカさんに提供して大ヒットさせたことでも有名だ。イルカさんの「サラダの国から来た娘」をご存じなくとも「なごり雪」ならご存じという方は多いんじゃないだろうか。「懐かしの」的歌番組ではかなりの高確率で取り上げられるし。でも僕が好きなのは「なごり雪」よりも「海岸通」でしかも伊勢さんのボーカルのものの方だ。その曲をどこで聴いていたのかはもう覚えてない。ただある日気づくと無性に聴きたくなってた。図書館で検索しても風のアルバムはおろかオムニバスアルバムなんかにも収録されてなかった。出て来るのはイルカさんバージョンばかりだ。借りられなければ買うしかない。それであれはいつ頃だったろうか。すでに塾を始めてたから十年かそこら前のことだったか。いやもう少し最近のことだったかも知れない。とにかく風のいくつかあるベストアルバムの中からこの「風 COMPLETE BEST」をアマゾンで見つけて買った。何を決め手に選んだかも覚えてないけどとにかく「海岸通」が入ってるのがいちばん大切な条件だったことは間違いない。ところがその二枚組CDが届いてみると「海岸通」以外に知ってる曲が全然ないことに気づいた。いやそれはおかしいだろ自分なりにはこのデュオには注目してそれほど熱心にではないにせよ聴いてきたんだから当然何曲かは知ってるはずだ。そう思うんだけど聴く曲聴く曲みんな知らないので諦めて「海岸通」だけ何度か繰り返し聴いて気が済むと塾の棚にしまった。それが今日たまたま図書館で借りたフォーク関連のオムニバスアルバムを聴いてるうちにそう言えば風のCD持ってたなと思い出して棚から引っ張り出してみた。でもこれ「海岸通」しか知らないんだよなと思った瞬間前回よりも強い違和感を覚えた。「海岸通」だけ?だって「22才の別れ」は絶対入ってるはずだしそれは知らない訳ないだろ。そう思って聴き直してみると驚いたことに収録曲の半分くらいは聴いたことがあることに気づいた。前回は無意識のうちにイルカさんに提供された「なごり雪」と「雨の物語」の伊勢さんバージョンを聴きたいなと思っててその二曲が収録されてなかったので早々と期待はずれと決めつけちゃったんだろう。でもそれ以外にも知ってる曲はやはりあった。「君と歩いた青春」。「星空」。「ささやかなこの人生」。「お前だけが」。「あの唄はもう唄わないのですか」。そして「22才の別れ」。懐かしい。そしてやっぱりこのデュオが好きだ。現段階では知らない曲も含めてしばらくこのアルバムを聴き続けようかと思っている。
