指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

夏休み。

うちの会社は初年度十日の有給休暇が与えられ、それが年毎に一日ずつ増えて行って勤続十年で年二十日になりそれが上限だ。また有休は一年だけ持ち越せるので勤続十年を過ぎ有休をまるで取っていない僕は今年四十日の有休がある。四十日というのは月の実働を二十日ちょっとと考えるとほぼ二ヶ月まるまる休めるということだ。僕の生活の中でこれほど非現実的な数字も珍しい。あり得ない。その上今年は前半休日出勤が結構あったので、代休も何日か取ることができる。おまけに夏休みがやって来た。それまで二、三日あった社全体のお盆休みが昨年から無くなり、代わりに夏休みを五日間7月から9月の間に取っていいことになった。会社の方針としては二回の土日の間に夏休みを挟んで九連休とか、月曜が休日だった場合は十連休とかそんな取り方をして遊びに行くなりなんなりすればいいじゃん、ということだと思うけど、そんな取り方をする社員はいない。みんな細切れに取って何とか五日間休む。
二週間ちょっと帰省していた家人と子供が帰って来るので、今日夏休みを取った。昨日大掃除をして四袋になったゴミを捨てがてらコンビニに朝ご飯を買いに行くが、全然夏休みらしくない。むしろ出勤していた先週の木曜、金曜あたりの方が人もクルマも少なくて夏休み感があった。完全に乗り遅れた気がする。だってお盆休みも無かったし、とか心中で言い訳するほどそこはかとなく気が引ける。
来週は僕の両親のおごりで温泉に行くのでそこでもまた夏休みを一日取る。8月も終わろうとするその段階で、でもまだ一日夏休みが残っている。村上春樹さんの言い方をまねれば、そんなのもう夏休みとも呼べない。