指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マーチじゃなく小唄。

こういう風に書かれると人間ってくだらないなあ、と確かに思う。くだらないことで腹を立て、くだらないことで意趣返しをし、くだらないことで溜飲を下げている。もうちょっとどうにかなんないかと思って、音楽とか映画とか小説とか学問とか、あるいは食べ物…

言葉と現実のすき間。

帯に「(前略)世界を睥睨する町田文学の新境地。」とある。例によってそれは本編を全部読むまで見ないようにしてたんだけど、言われてみると確かに新境地という気がする。「真説・外道の潮騒」みたいにテーマがとてもはっきりした作品、また初期の作品を除…

青春小説とは何か。

人から借りて読んでちょっと前に返してしまったので手元に無く、記憶だけで書くしかない。でもとにかくとてもおもしろかった。個人的には「青春小説」という言葉をほとんど気にしないでここまで来た。好きな作家でもいわゆる「青春小説」を書いている場合が…

オースターを考え直す。

初めてオースターの作品を読んだときはまだ学生だったので、なんのかんので二十年くらいは読んで来たことになると思う。それだけずっと読んでたんだから、好きな作家ということにもなると思う。でも「オラクル・ナイト」を読みながらあれあれと思った。それ…

ご無沙汰しております。

22日の金曜日に休みをとって、家人と庭園美術館の香水瓶の展示を見に行く。ええと正直言って僕は全然興味がない訳だけど、そういうことも言っていられない。彼女とか妻とか持たれたことがおありの方にならわかっていただけると思う。それでも礼儀正しくそれ…

帰省中。

昨日から僕の実家に帰省している。昨日は雨でどこにも行かずに子供は両親に遊んでもらい家人と僕はごろごろ過ごした。今日は天気予報がはずれて晴れていたので、昼に近くのイタリアンレストランに行って家人とふたりで食事をした。子供はざるそばが好きで最…

一筆書きのような小説。

長いものでもおそらく十ページにはならない掌編小説集。そのほとんどが人間の愚かしさや業の深さについて書かれている。おそらく僕などの方が作者よりずっとゆるくて曖昧な倫理しか持たないので、車谷さんの作品を読むときには、ここまで突き詰めるのか、凄…

超然としている、ということ。

絲山秋子さんの日記を普段から拝読しているので、「妻の超然」、「下戸の超然」、「作家の超然」の三作のできあがって行く過程を、割にリアルタイムで知ることができていたような気がする。それで三作とももっとずっと長い話なのかと思っていた。それぞれが…

冥王星Oと水星C。

越前魔太郎原案、舞城王太郎作、ということで越前さんというのは冥王星Oのシリーズをたくさん書かれているらしいけど、一冊も読んだことがないし、大変申し訳ないけどこれからも読まないと思う。だから越前さんの冥王星Oと舞城さんのそれとがどのように結ば…

起こったことは起こったことなのだ。

一ファンとしてものすごくおもしろく読んだ。村上さんの作品には謎がある。それはミステリのように作品が終わるまでのどこかで解かれるような謎ではない。では、世界というのは元来がどこかに必ず謎を秘めているものであって、村上さんの作品の謎はそうした…