指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「英文解釈教室」の快楽。

受験生のときに使った参考書のほとんどは捨ててしまったが、「英文解釈教室」ともう一冊だけは取ってある。とにかく何度も繰り返した愛着のある参考書だからということになる。ただどこにしまってあるかわからないので数年前に改訂版を買ったことはここでも触れた。塾を始めるに当たって英語の復習をしようという心づもりがあったような覚えがある。それをここのところ少しずつ読み進めている。読む、と言うか、やる、という言葉の方がぴったり来る。以前は英文をすべて訳して勉強したけど、今回は文の構造を分析することに重きを置いている。例文をノートに写してこれが主語でこれが動詞、補語、目的語、この関係代名詞の先行詞はこれで、みたいな風に自分なりに図解してみる。今のところすべての例文に見覚えがあるけどあまり使わない英単語は忘れていてそこは受験生のときに使っていた研究社の新英和中辞典を引く。第4版の1979年に出た20刷。あの頃はこの辞書が定番と言われていて誰もが使っていたけど今はどうなんだろう。辞書を引くのは昔も今も面倒な作業だけど仕方なく引く感じもなんだか懐かしい。そして「英文解釈教室」は本当にすばらしい参考書だ。なんて言うか滋養に充ち満ちている。著者の伊藤和夫先生に心酔して駿台予備校で英語の講座を直に受講したときは本当にうれしかった。僕が教える英語も伊藤先生の圧倒的な影響下にあるしそれが最も優れた英文解釈の方法であることを疑っていない。「英文解釈教室」を開いていると改めてそのことを思い知らされる。自分の知識をひとつひとつ確かめ不鮮明なところには丁寧に磨きをかけるようにして読み進めている。
(2016/06/18)