指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

お花見。

何ヶ月ぶりかで有休をとり、井の頭公園へ花見に行った。例年花見は井の頭公園と決めている。理由はよくわからない。結婚してからずっとそういうことになっている。休日だとその人混みに辟易するので休暇をとってウィークデイに行くのがならわしだ。
花の咲き具合は五分と七分の間といったところで満開のときの圧倒的な重量感こそなかったものの、まだ花見客の姿も少なくていつもよりのんびりできた。シートを敷いてビールを飲みロンロンで誂えたお弁当を食べて花見気分を満喫した。ただまだちょっと肌寒い感じがあった。風も吹いていたし、陽も差したりかげったりだったからだ。おそらく満開までにはあと二、三日かかるような気がする。土曜か日曜がベストと思えるので、予定している方はご参考になさって下さい。
池のボートに乗るのも毎年のことだ。ここのボートはカップルで乗ると別れるというジンクスがあって、まあそういうのは井の頭公園に限らず割とよくある話だと思うけど、僕はこれまでふたりと乗ってその双方ともと別れることになったのでそういう意味ではジンクスは守られていた。家人と初めて乗ったときはすでに結婚していて、別れさせることができるのなら別れさせてみなさい、くらいの意気込みで乗ったのがよかったのかその後別離には至っていない。でもまあ人間というのはいつかは必ず別れなければならないので、井の頭公園のボートに乗ろうが乗るまいが、別離の率は100パーセントだとも言えば言える。
毎年思うことだがボートから眺める桜はまた格別だ。岸から大きく池の上にせり出した枝にはみっしりと桜の花がついていた。今年は子供の希望で手漕ぎのボートではなく、スワンボートに乗った。これは操作性がひどく悪い上に風に流されやすく、推進にもものすごく力がいる。くたくたになった。来年はまた手漕ぎに戻したい。
最寄りの駅へ帰って来てからうちまで歩く間に公園の中を通りながらまた桜を眺めた。こちらは明日にも満開になりそうな勢いで、結局今日見た桜の中で一番きれいな気がした。あかんかった。