指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

手帳を買ってみた。

何ヶ月か先という長期の予定がほとんど入らない暮らしをして来たのでスケジュール帳の類は持ったことがなかった。また他人からスケジュールを尋ねられていちいちスケジュール帳を開き、あーその日は他に予定があってさ、とか言うのも何となく勿体ぶっているようで、自分はそういうことをしたくないと思っていた。それがここのところ会社の体制刷新で、かなり先の予定まで組まなければならないことになったところへさして、一週間以内のアポを忘れるということが立て続けに二度あり、幸いおおごとにならずに済んだもののある程度の迷惑を他人にかけてしまった。それで生まれて初めて手帳を買うことにした。
でもそういう説明の仕方には嘘があって、これまでどんなに手帳が必要だと感じても手帳選びの手間などを考え合わせ、面倒くさいからいいやと買うのを断念するのが常だった。それを実際に買うところまで漕ぎ着けさせてくれたのは、ほぼ日手帳の存在だった。これは一月に同じものを家人が買ってなかなかいいと奨めてくれた他に、やはり糸井さんがつくった商品は「MOTHER」シリーズのように自分とは相性がいいのではないかと強く思われたことが購入のきっかけだった。でも本当は僕が糸井さんのつくった商品と特に相性がいいわけではもちろんなくて、どんな人にも相性のいい商品をつくってしまおう、という努力が偏屈な自分にも届いた結果だと思う。
でもあれですね、手帳を買うっていいですね。何かすごく楽しいことが始まりそうな予感がする。またほぼ日手帳も手帳だけを売るのではなく、手帳のある暮らしそのものを販売コンセプトにしている。というわけで僕は新しい暮らし方を買ったようにさえ感じている。