指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

牛肉どまんなかの栄光。

新宿の京王百貨店で各地の駅弁の販売イベントがあるということで子供を連れて行って来た。以前池袋の東武で同じような催しがあり、子供に選ばせると米沢駅の牛肉どまんなかがいいと言うので買って帰って食べさせた。それが何だかものすごく気に入ったようで以来何かにつけて牛肉どまんなかが食べたいと言う。池袋のサンシャインの催しで販売されると先日広告で知り喜び勇んで買いに行ったところ、予定より弁当の到着が遅れていて小一時間待ってみたけどいつ頃着くかわからないとのことだった。それで泣く泣く諦めて帰って来た。そんな経緯もあって、普段なら滅多に下りない新宿の駅まで行ってみることにした訳だ。
地下のエレベーターに客が殺到し、整理員みたいな人が出ていた段階で若干いやな予感はしていた。催事場のある7階で下りると果たしてフロア中が客でごった返していた。他の駅弁には一切興味がないので牛肉どまんなかだけを目指すと購入待ちの長い行列が見つかった。最後尾についた。他の客が係の人に尋ねるのを聞くと、ここから四、五十分待ちだと言う。たかが駅弁ひとつ買うのに、だ。僕は行列に並ぶというのが基本的に好きではない。普段は特にせっかちな方でもないと思うけど、行列に並ぶ苦労を押してまで手に入れる価値のあるものなんてそうたくさんはない、みたいに思っているらしい。馬鹿馬鹿しい気がする。でもまあ子供のためであれば仕方ない。子供は家人にまかせてどこかで遊ばせてもらい、ひたすら並んだ。
見込みの時間より少しは早く手に入れられるかとも思ったが、実際に買えたのはしっかり五十分後だった。家族三人分買った。何でもこの弁当がイベントの中でも最も人気があるらしい。牛肉どまんなかはすごい。侮りがたい。
帰りは中央線の新型車両E233系にも初めて乗ることができて子供にとっては大満足の半日だったようだ。お昼に食べたら確かにおいしい弁当だった。上品につくった牛丼とでもいった感じだ。でも自分ひとりだったら五十分列に並んでまで買わない。