指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ええと、いろいろ。

昨日、朝五時起きで実家に帰省する家人と子供を東京駅まで送って行った。新幹線を見送ってしまうと何もすることのないひとりの休日が残った。コンビニで朝食を買って帰宅した。食べてから少し眠った。あまりよく眠れなかったけどそれでも二時間以上横になっていた。ああ誰もいないんだな、と時々思った。起きてから何をしようかと考え、子供がいてはなかなかできない場所でも掃除しようと思いついた。六畳間の壁の一面に天井まで届く書架を引っ越したときに誂えたが二、三年前から収まり切らない本があちこちに積まれるようになった。見栄えも悪いし邪魔だ。とにかく書架以外の場所には本がないようにしようと思い本の整理を始めた。それが午前十時半前後だった。
書架のスペースが同じところへ今までより多くの本を詰め込むにはどうしたらいいか。書架に空いた無駄なスペースをとことんつぶせばいい。本を棚に差して並べるのは見栄えもいいし欲しい本が比較的楽に取り出せるがその分無駄なスペースが増える。それをつぶすのに手っ取り早いのは本を横にして積んでしまう方法だ。欲しい本がどこにあるかすごくわかりにくい。たとえわかったとしてもすごく取り出しにくい。でもとにかく詰め込める。そうすることにした。
一冊一冊雑巾で埃を払いながら並べ替えているといつの間にか作業に集中していた。一度は読んだ本なのにこんなおもしろそうな本があるのかと驚いたりして結構楽しい。二時半に空腹だったのでラーメンを食べに行くことにした。その店は割とおいしくて休みの日の昼下がりとかはすごく混んでいるのでわざと少し遅めにした訳だ。家を出る前にビールを一本飲んだ。アルコールが少し入っていると汁物はおいしい。喉が渇いていたのでビールもひどくおいしかった。
ラーメンができあがるのを待つ間にいい感じでビールが効いてきた。にんにくの匂いがするのでカウンターの上を見るとすり下ろしたのが入っている壺があった。たまにひとりでこの店に来るときも後のことを考えてにんにくなど使ったことがなかったが、今日は家に誰もいないのだから心おきなく使ってもいいということに気づいた。大さじで二杯すり下ろしにんにくを入れたラーメンを食べた。
帰宅後ビールの酔いにも負けずに作業を続けた。結局六時過ぎまでやって全部の書架の半分くらいが整理できた。要らない本も結構あったのでスペース的には随分ゆとりができた。そこにはこれから家人や子供の本が詰められることになる。そのかわり書架全体はすごく見苦しくなった。まあ覚悟の上なので仕方ない。でもなんか、いやに圧迫感がある。