- 作者: 加藤典洋
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/01/17
- メディア: 単行本
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村上春樹「スプートニクの恋人」、村上龍「希望の国のエクソダス」、川上弘美「センセイの鞄」、保坂和志「季節の記憶」、江國香織「流しのしたの骨」、大江健三郎「取り替え子(チェンジリング)」、高橋源一郎「日本文学盛衰史」、阿部和重「ニッポニアニッポン」、伊藤比呂美「ラニーニャ」、町田康「くっすん大黒」、金井美恵子「噂の娘」、吉本ばなな「アムリタ」。
いくつ読んでます?僕はちょうど半分の六編を読んでいた。でもその六編以外に触れた章もあたかもすでに読んでいるかのようにわかりやすく書かれている。特に九十年台に入ってからの小説の戦略の大きな転換についてはすごくよくわかった気がした。川上弘美さんや保坂和志さん、江國香織さんの位置づけについてなどこんなにクリアになっていいかしらと思う。つまり若干引き気味に受け取らねばならないという自戒が生まれるほどきっぱりとわかりやすい。何度かドッグイヤーしようと思ったが図書館の本なのでできなかった。残念だ。
ところで「スプートニクの恋人」に関する章を読んでいる内どこかで読んだことがあると思ってよく考えたら、「イエローページ村上春樹」の二冊目にあるのと同じような論旨だった(確認してないけどもしかしたら同じ論考かも知れない。)。「イエローページ村上春樹」もあまりにクリアに分析されていてこれを真に受けていいんだろうかという疑いが残った点では本書と似ている気がする。読んでいる内は確かにすごくおもしろいんだけど。うーん、個人的には保留する部分を残しておきたい。欲しかった「敗戦後論」は今日手に入った。