指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「血と暴力の国」とその周辺。

「血と暴力の国」を読み終えた。大変趣深い作品だった。現在のところ今年読んだ本の1位か2位に入ったと思う。対抗馬は「アサッテの人」だ。妙な取り合わせだけど。
訳者あとがきによるとこの作品はすでに映画化され日本では来年の2月から公開予定らしい。「すべての美しい馬」は映画化された憶えがある。1985年発表の「Blood Meridian」もリドリー・スコット監督(「ブレードランナー」好きです。僕が持っている唯一の市販のビデオカセットです。)で映画化の話が進んでいると言う。映画化しやすい作家なのかも知れない。描写に描写が続くのでちょっとわかる気もするが、原作と映画とは基本的にまるで別のものだと思っている。だから映画も特に見たいとは思わない。そんなに騒ぎ立てるほど映画っておもしろいか?ともともと思っているせいかも知れない。おもしろい映画を見るよりおもしろい小説を読む方がずっと好きだ。でもそういうのって単に好みの問題じゃないかと言われればまあその通りだ。
それより「Blood Meridian」とピューリッツァー賞をとった「The Road」がとても読んでみたい。「Outer Dark」という長編第二作もすごくおもしろそうだ。「The Road」のペーパーバック版は書店で何度か見かけたことがあり、その都度これの翻訳が出るまでにあとどれくらい待つのだろうと思った。思い切って原書で読むか?でも読み終えたばかりの文庫の次のような一節がその意気を阻喪させる。

こちらが連中をよほどの馬鹿だと思っていると連中が思っているとこちらが思っていると思っているに違いない連中だ。

えっとこれはthat節がいくつ必要になるんだ?そのあるべきthatが全部省略されている可能性もあるのか?