- 作者: 万城目学
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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第二景「ローマ風の休日」の「アウチですか、少年」という凡ちゃんの台詞が異様に心に残った。何層にも積み重ねられたとても味わい深い台詞だと思う。アウチという言葉の選び方、その相手が年下の男の子であること、ですかが丁寧語であること、少年といういろいろな感情のこもった呼びかけ方、凡ちゃんが自分の方から話しかけていること、その他にも凡ちゃんのこのときの思いを少なくともあとふたつの方向から忖度すると、その陰影の微妙さは際立っている。このひと言が読めただけでもこの本を読む価値があった。
でもみんな「鴨川ホルモー」の方がよかったって言うんだよ。僕には信じられないんだけど。ほんとに。