指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

読む心意気。

続けて☆をいただくとご期待に応えたいという気持ちになって守りに入ったりしそうなので、一度興ざめなことを書いておかなければならない気がする。
読むことについて一番難しい立場があるならどこかと考えると、いつも新人文学賞の応募作の下読みの人たちに思い至る。どんな権威付けもない作品をその作品だけで評価しなければならない、これ以上に読む力の試される場面は他に無いように思われるからだ。お前そんなことできるかと問われれば、できない、自信が無いと答えるしかない。だから、編集者だか何だかわからないけどそういう下読みの人たちをいつもどこかで尊敬している。読む力ははるかに及ばないまでも、心意気だけは共有したいと端から見れば笑止な努力を続けている。
作品はできるだけまっさらな状態で読みたい。前知識は遠ざける。帯も読まない。書評も読まない(前にも書いたけど高橋源一郎さんのものだけは別。)。これは読書の後も同じで解説もできる限り読まない。読んだら自分的には負け(本当にひどい作品の場合は逆の意味で読むこともある。つまり、いったいどこがどう評価されてるの?と不思議で仕方ないときには。)。
偏狭と言えば自分でもそう思うけど、これが自分の読む心意気で、譲れないところだ。