指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

フォーマットの決まった生活。

草の上の朝食 (中公文庫) 保坂和志著 「草の上の朝食」
会社員だけどかなり適当な働き方しかしていないから平日の昼間でも割に時間が自由になる。土日は一日競馬場で過ごす。課されたものの数がとても少ない日課はでも結構きちんとこなす。つまりそういう言い方をするなら、生活のフォーマットはそこそこ決まっている。そこにどんなコンテンツが盛られるだろうか。もっともどれも定職に就いてないような同居人がいるのが特異と言えば特異だ。
語り手は、原因とそれに見合った結果という因果関係が嫌いだと作中はっきり言ってるけど、これはそのまま作者がこの作品に込めた思いと重なるのではないだろうか。一種の楽園みたいな雰囲気があるけどそれは誤った原因から導き出された仮の結果なのかも知れない。そういう風に言うと何もかもが仮の結果に過ぎないようにも思えて来る。作品だけでなく現実にある世界も。