指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

町田さんの底力。

破滅の石だたみ 町田康著 「破滅の石だたみ
2008年に出たエッセイ集だけど初出をざっと見ると1999年に書かれたものなども収録されている。町田さんはエッセイも割にフィクショナルな文体で書かれることが多い気がするが、この本は比較的そういう感じが弱かった。こういう本で個人的にいちばん興味を惹かれるのは、ご自分の小説作品について触れられたところということになる。だから「屈辱ポンチ」と「告白」について書かれたところはとてもおもしろかった。特に後者については制作のざっくりした意図を知ることができる。似た意味で芥川賞を受賞した前後のことを書かれたところも興味深い。賞になんて大した意味を認めない人みたいに勝手に思ってたけど特にそういうこともない。
「私のオールタイム文庫ベストテン」では読書家としてはかなり早熟な町田さんの一面が垣間見える。それがとても新鮮に思われた。