昨夜も「電車男」を見た。回を重ねるに連れてこちらも力が入って行く気がする。
今回の隠れたモチーフは、スレに集まった住人たちが自分でも気づかぬうちにオフで出会うことにあるように思われた。エルメスの弟がバイトしている店の店長はどうやらエルメスが誰であるかに気づいたようだったし、電車たちがコミケに参加するのを阻む警備員は、他ならぬ電車を応援しているはずのスレの住人だったりした。次回の予告を見ると、前者は物語の進み方に何らかの影響を与えるかも知れないし、後者はそれほどではないようにも思える。
キャリアとしては中堅くらいと言えそうな個人的なネット歴から言うと、日時と場所を打ち合わせて会ういわゆるオフ会を別にすれば、ウェブで知り合った人とオフで出会うということはまずないと思える。大体、万が一偶然に出会ったとしても双方が双方の正体を知る手だては当然ながらない。だから今回のドラマの中で起きているようなことは、ただ物語の中でのみ可能だ。
だからいけないと言いたいかと言えば、そうでもない。少なくとも昨日の回を見た限りでは、楽しいお遊びのように思えて感興をそそった。早い話が程度問題ということだ。あまりこれをやられるとおそらく、またか、という気がすると思うが、この程度ならまあいいかも。
でも店長の方はちょっと心配もある。エルメスの正体を知ってしまったという事実は、とても慎重に扱わないと物語の進み方に重大で、かつぶち壊しの方向を向いた影響を与えかねない。ついにエルメスを怒らせてしまった電車とエルメスの行く末と共に、短い示唆で終わった店長の気づきを今後どう扱うつもりなのか、次回が大変気になる。もしかしたら気づきを気づきのままで終わらせる度量を、店長は持っているかも知れない。そうした方が、物語の展開にとっては安全な気がする。
