指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ビートルズとかぶとむし。

作家の平山瑞穂さんのブログに触発されたのだけど僕も同じようなことを疑問に思っていて、それは「ビートルズ」と「かぶとむし(たち)」はどう違うのかということだ。これは別に英国のカブトムシと日本のカブトムシの形態的な違いを問題にしてるのではない。英国並びに英語圏ではビートルズという言葉はロックバンドの名前として長く機能してきたし今もしている。でも日本では、「beetles」の訳語に当たる「かぶとむし(たち)」が少なくともロックバンドの名前として流通することは今のところあり得ない気がする。「ビートルズ」はあくまで「ビートルズ」として流通する。それはなぜなのかということを問いたいわけだ。
こういう例は枚挙に暇がない。モンキーズローリングストーンズ、ドアーズ、クィーン。それぞれ日本語では「猿(たち)」、「転がる石(たち)」、「扉(たち)」、「女王」。「猿(たち)」や「女王」という名のバンドが日本にあるとは思えない。あるかも知れないけど知らない。「王様」っていたけどいつの間にやら姿を消した。キワモノだったからだと思う。
ということはローリングストーンズはローリングストーンズであって「転がる石(たち)」とは交換不可能なわけだ。訳すことはできるけど交換はできない。日本語の文脈に置き換えられるけど、置き換えたとたんに何かが消えてしまう、そういう形で「ビートルズ」も「ローリングストーンズ」も存在している。その存在の仕方は、ネイティブでないとなかなか捉えづらい気がする。
でも案外、モンキーズって語感として結構かっこいいよね、みたいな感じがあるのかも知れない。あるいは語と意味とを切り離して考えることが日本人より得意なのかも知れない。とりあえず日本語で「猿」を標榜するのはお笑いの「おさる」くらいだ。それも占い師の薦めで別の名に変わってしまった。

うーん、酔っぱらったので今夜はこの辺で。