指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

新しいパソコンが届いた。

前の社長もPCに詳しく自分でプログラムを組んで業務に役立てているような人だったが、新しい社長も別の意味でPCに詳しいらしい。いつもサブノート型のパソコンを携行しモバイルでウェブに接続して何かやっている。そのノートを二年ごとに買い換えるのだそうだ。まあひとつの見識だとは思う。ただそういう人にありがちな本末転倒感も若干ないではない。
彼は僕がWindows98を使ってるのを見て即座に、新しいPCを買うからそれと交換しろと言った。前の社長のときもそういう話が出ていたのは前にも書いたが、今度の社長は有無を言わさない。早速今日新しいPCが届いた。仕方ないので今日まで使ってきたPCのバックアップすべきデータをストレージに移し、そのPCを片づけ、新しいPCをセットアップして、今度はストレージからデータを持って来た。それだけで3時間くらいかかった。元の環境に近づけるにはまだあと7〜8時間は必要なのではないかと思う。
ところで新しい社長と彼が引き連れてきた部下はコンピューターウィルスをやたらと警戒している。ウィルス対策ソフトの導入はもとより、ウェブサーバのファイヤウォールにまで口出しをする。そんなの万全です、と僕は答える。嘘だけど。
と言うのも、こういうことを尋ねる人とその部下が通常使っているのがOutlook Expressなのだ。しかもHTMLメール送信のチェックがはずしてないので平気でHTMLメールが送信されて来る。まだある。彼らはやたらとメールに添付ファイルをくっつける。大抵はワードかエクセルのファイルなのだが、これらが一般的に危険度の高いファイルとされていることを知らないんだろうか。あるいはウィルスのほとんどは添付されたexeファイルだということを知らないんだろうか。それとも危険度の高いファイルをスムースにやりとりする必要上、いたしかたなくウィルスチェックにご執心なのだろうか。
僕は早いうちにOutlook Expressを封印し別のメールソフトの導入を前の社長に勧めた。マイクロソフト・オフィスでつくったファイルは送信も受信も慎重に、と周知した。添付ファイルは可能な限り開くなとも言った。これらは割に徹底して守られており、おかげでこれまでウィルスがらみのトラブルは2回しかない。いくつかの原則に忠実ならウィルスに感染することは今のところないと思われる。そのいくつかの原則を析出する手間を惜しんですべてウィルス対策ソフトにまかせるのは安易だ。ウィルス対策ソフトは免罪符ではないのだ。