指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

空振りブックオフ。

収納場所にいよいよ困って来たのでできるだけハードカバーの単行本は買わないで欲しいと先日家人に言われた。という言い方ではちょっと伝わらないほど強い口調だった。まあそれから二冊くらい内緒で買っちゃったけどね。
それでも少しは神妙な気持ちになってこの日曜に大塚のブックオフへ出かけたときは文庫しか買わない決心を固めていた。でも獲物はなくてちょっとだけ拡大解釈しようとハードカバーだけど百円均一のコーナーを見に行ったら島本理生さんの「ナラタージュ」があった。結構欲しかったんだけどもうすぐ文庫になる気もしてやめた。でも結局その後百円均一以外のハードカバーの背表紙にも一通り目を通してしまった。挙げ句の果てに店を出たときには子供にせがまれた「ガンダムエース」のバックナンバー一冊だけを手にしていた。まあ百五円の出費だからいいけどさ。
仕事で吉祥寺に行ったので帰りに懐かしの荻窪で下車してまたブックオフでリベンジを果たそうとした。地下の方の改札を抜けて左、つまり天沼方面のエスカレーターを上がると左斜め前方にブックオフの看板が見える。京樽の前を行き過ぎながらここって不二家じゃなかったっけと思ったりする。青梅街道に至る前、交番の手前におそらく混雑緩和のためにつくられたロータリーからの出口があってそれは今も一方通行でバスも結構強気で突っ込んでくる。そこから交番の前を行き過ぎると目の前には二十年前前後どれだけの本を購入したかわからない「荻窪ブックセンター」とそのすぐ隣のブックオフが見える。
とりあえずブックオフで一冊百円(正確には百五円)の文庫本を三冊と三百十五円の本を一冊、計四冊を買った。はかばかしい戦果とはとても言えない。
でもブックオフとはそんなものだという気もする。そこには老舗の古本屋的こだわりがない。じゃあマスに強いかと言えば今読みたい旬の作家の作品などはすでに買われていて跡形もない。たとえば椎名誠さんの文庫は山ほどあるけど僕が探しているのはないし、それは車谷長吉さんでも古井由吉さんでも同じだ。ブックオフにとっては、全体で本が売れている状況だけが大切なので誰のどんな作品が売れようが在庫を切らせようがそんなの一顧だにしないのだろうけど、そういうのって間違いなんじゃないかと思う。古いのかなあ。