指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

教育不熱心。

幼稚園のとき毎日送って行ったりしたせいで一部の人が僕をかなりの教育熱心だと考えているようだと家人は言う。でも考えてみればすぐにわかることだけど、幼稚園に毎日送って行くことと教育熱心の間には別段つながりらしいつながりは無い。育児に協力的という言い方なら少しはつながりがあるかも知れない。でもその場合、大切にされているのは子供と言うより家人だ。実際、子供を幼稚園に送って行った一番の理由は家人に少しでも多く自分の時間を持ってもらいたかったからだった。生まれてから三歳くらいまでの家人の苦労に少しでも報いたかった。道々子供と交わす会話が楽しかったとしても、それはまた別の効用だった。
そういう意味では僕は教育不熱心で、方針として子供に何かをこちらから勧めたりやらせたりすることはしないようにしている。そのかわり子供が自主的に取り組む何かがあった場合にはできるだけ全力でサポートする。前にも書いたけど、おむつが取れたばかりの頃喘息にいいと言うのでプールに連れて行って失敗して以来、プールには二度と連れて行かなかった。今子供は水泳教室に通っているけど、それは幼稚園で水遊びの楽しさを知った子供が、同じクラスの子が通うその教室に入りたいと自分から言ったからだ。
先月中頃子供がくもんの教室に通いたいと言い出した。どうせ学校の友だちと遊び半分で通いたいんだろうと思って聞いてみると、くもんのことは確かに友だちから聞いたがその子と同じ教室でなくても構わない、自分は勉強ができるようになりたいのだと殊勝なことを言う。翌日家人が最寄りの教室に電話すると、折良くその日から体験学習が始まるということだった。週二日で二週間、計四回通った。それで今月から入会することになった。
家人は説明を聞いてきて、あまり早い段階で先まで進んで学習してしまうので、学校での勉強が楽しくなくなってしまうのではないかと心配した。でも僕はとにかく子供の自主性を大事にしたかった。やりたいと言うのならやらせる。
という訳で子供がくもんを始めることを聞きつけた一部の人たちの間で、僕は教育熱心なパパという、より粘着性の高いレッテルを貼られることになりそうだ。おまけに家人が「あたしは疑問だったんだけど、パパが行かせろというから行かせることにした。」と、確かに筋としては間違っていないがニュアンスとしてはほぼ180度間違ったことを伝えているらしく、その他にもいろいろあって困っているんだけど、子供に上から言って勉強とか習い事とかやらせるのは僕は本当に嫌いなんです。