指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

児童館の友だち。

夕方児童館へ子供を迎えに行った。すると子供は少しだけ年長に見える女の子と一緒に児童館から出て来た。道に出ると女の子は右へ行くか左へ行くかと子供に尋ねる。まっすぐ家に帰るなら左へ行くのだが、今日は根津神社まで散歩に行こうと約束していたので、右へ行った方が都合がよかった。子供がそう答えると、女の子は、よかった、私も右なので一緒に帰ろうと言う。それで三人で彼女の家の近くまで一緒に歩いた。お名前は、と尋ねると名前を告げた後に三年生だと言う。子供と同じ小学校だった。ほんの数分一緒に歩いただけで別れた。
仲のよいクラスメイトについては子供から直に聞いたり家人から聞いたりして何となく知っていたが、児童館での友だちについてはまるで聞いたことがなかった。だから今日になって急に仲良くなったのかと思ってそう尋ねるとそうではなくて割と以前から友だちだったと言う。きょうだいみたいに仲がいいんだよ。どういうこと?前に雨がやんだときに窓から虹が見えるかも知れないってふたりで見に行ったら、ほんとに虹が見えたの。それできょうだいみたいに仲良くなったの。要領を得なかったので詳しく尋ねたが、それ以上筋の通った話は聞けなかった。
とにかくふたりで一緒に虹を見て、それがきっかけで仲良くなったらしい。そこには子供たちだけにわかるすごく複雑ないきさつがあるように思われるが、それを知ることは決してできない気がする。