指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「アイリッシュ・ポリッジを久しぶりに楽しもう」。

甘く優しい短篇小説 (新潮文庫)

甘く優しい短篇小説 (新潮文庫)

今日は夕方からイベントの手伝いで横浜。思っていたより短い時間で終わり東京駅まで帰ろうと思ったら東海道線がひどく空いていて驚いた。五連休もおしまいで最後は雨になってなんだか切ない。休日出勤はまあ仕方ないとしても。
タイトルは片岡さんの描くウェイ・オヴ・ライフの一例。アイリッシュ・ポリッジって何ですかね?アイルランドおかゆ?久しぶりに、ってことは以前にもそれを口にしたことがある訳だ。そして画竜点睛の「楽しもう」。楽しむ、ことを、しよう。このセリフの話者がたとえば僕だったとしたら、最低三ヶ所は意識的に言葉を異化しないとこの言い方にはたどり着かない。四ヶ所かも知れない。そんなお話と自分との間に何が分かち合えるか。

「夢のような恋愛小説?」
「そうだね。現在の世界が、具体的に写実的に描いてあるけれど、物語そのものは、絶対にあり得ないような夢物語。強く憧れはするけど、実際にはありっこなくて、だからこそ心の底に大切な夢としていつまでも持ち続けていたいような、そんな夢の物語」
「それを小説で書くのは、たいへんだと私はおもうわ」

たとえばこういうことなら僕にも分かち合える気がする。