指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「ヘヴン」についてまた。

六つの星星
もう少しで読み終わるというところで「1Q84 Book 3」が出てしまって中断していたのを今日読み終えた。それで最後の「ヘヴン」にまつわる永井均さんとの対談が一番印象に残ることになった。
コジマの変質についてはほぼ思った通りだったし、「僕」の立場とラストシーンもおそらく結構読めていたと思うけど、百瀬がヒューマニストだという作者からの言葉は意外だった。それでは平野啓一郎さんの「決壊」に出て来る悪意とは全然別のものだったんだろうか、と思いかけて、でも、と思い直した。「決壊」の少なくとも主人公の持つ悪意はヒューマニスティックにも読めるような気がした。つまり、百瀬をヒューマニストとする視点に立てば。自力ではそこまでたどり着けなかったけど、言われてみればそれは納得の行く言い分にも思える。
NHKの「スタジオパークからこんにちは」に出演された川上未映子さんを見て、周囲を気づかう、なんならサービス精神の強いお人柄を感じたけど、対談集でもそのサービス精神が発揮されていて、作者が自作についてあまり言わないような発言が読めておもしろかった。