指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

夏休みの宿題。(その1?)

なつかしい「おもちゃ」の作り方 (知恵の森文庫)
8月に入ると家人と子供は家人の実家へ帰省する。今年は二週間と少しのスケジュールだ。その帰省までには夏休みの宿題を終わらせておくように心がけている。一昨年はそこそこうまく行った。昨年はそうではなかった。昨年の今頃の記事を読み返してみても、子供の夏休みの宿題についての記述が無い。これはもう書くのもいやになるほど面倒なことがあったからだ。なので今年はちょっと気合いの入り方が違っている。
少し前に「冒険手帳」のことを書いたけど、その後結局この本も買った。懐かしさだけでも手元に置いておく意味は充分にあると思ったからだ。するといつの間にか子供も目を通していて、中に紹介されているコリント・ゲームを今年の夏休みの工作でつくりたいと言い出した。コリント・ゲームというのは水平にしたパチンコみたいなもので、でも盤は完全に水平ではなくて少し角度がつけられている。バネを巻いた棒を使ってボール(本に書かれているようにビー玉を使う。)を打ち出す。盤には垂直に打ち付けた釘を半円状に並べたポケットと、そのポケットにボールが入るのを邪魔したり誘導したりする役目の釘が打ち付けてある。ポケットにはそれぞれ数字が書かれていて、ビー玉が入ったポケットの数字が打った人の得点になる。
ちょっと離れた大きめの百円ショップで材料を買ったのが先週の土曜のこと。盤になる板が一枚、枠になる板が四枚、釘をひと箱。のこぎりと紙ヤスリは翌日DIY系の店で調達した。他の工具は会社にあるのを使うことにして、一式を今日会社まで持って行き、朝から作業に取りかかった。まずは盤の大きさに合わせて枠の板をのこぎりで切る。一回やって見せるとできそうだと言うので切らせた。切れたら切断面に紙ヤスリをかけて滑らかにしておく。
ところが金づちが会社に無かった。またバネにはスパイラル型のノートをばらして背のコイル状の針金を使ってみたが、役には立ちそうながらあまりきれいな見かけにならない。近くの百円ショップが開く10時を待って、追加の道具と材料を買いに行く。小さめの金づちと針金、ビー玉など。盤に釘でポケットを打ち付ける作業も、一度お手本を示して後は好きにやらせる。
こちらは鉛筆に錐で穴を開けて針金を通して止め、そこからコイル状に針金を鉛筆に巻き付けて行く。本にある通りのピアノ線なら15回くらい巻くと弾力は充分らしいが、もっと細い針金しか手に入らないので50回くらい巻いた。
子供は楽しいのか夢中になって釘を打っている。一本打ってはビー玉がすり抜けないように確かめながら次の一本の位置を決める。十数個のポケットができあがるとそれぞれのポケットに点数を書き入れ、ポケット以外の釘も適当に打って盤は一応完成。その頃には釘を打つのが僕よりうまくなっていた。
こちらは枠のひとつのできるだけ端の方に穴を開ける。最初は錐で、次にプラスのドライバーで、最後ははさみを突っ込んで穴を大きくして行き、直径一センチ弱のところまで広げる。バネを巻いた鉛筆を通し、そのままではビー玉を打った反動で毎回鉛筆が穴から抜けてしまうので、鉛筆の、バネの位置から見て枠の外側にあたる場所に一本ねじを通してストッパーにする。鉛筆の一端からストッパーまでが枠の外に出ていて、これを引っ張って放せばビー玉が打ち出される。ここだけが本に紹介されているのとちょっと違っているけど、正直こっちのやり方の方がつくるのは簡単だと思われる。
それから盤の下に盤に角度をつけるための板を打ち付ける。できたらいよいよ盤と四枚の枠を釘を使って固定。念のため枠同士も釘で固定。慎重を要するので、子供との共同作業。最後にセットしたビー玉が転がらないように、バネを巻いた鉛筆の脇に細長い板でガードをつくる。これはガードの板が薄いので釘が打てず、またそれほど力がかかる場所でもないので木工用ボンドで固定。一応コリント・ゲームの外観にはなった。
ただこのままでは打ち出されたビー玉が天板にぶち当たるだけでそのまま落ちて来てしまうので、天板の内側に緩いカーブができ、それに沿ってビー玉が転がって行くように曲げたボール紙をつける。でもボール紙では曲線が滑らかに出ないようだ。時間切れなので明日改めてプラ板を買って来て改良の予定。ここまでで大体三時間半の作業だった。
この本に紹介されているおもちゃを、子供の頃はひとつもつくらなかった。そのひとつを初めてつくるまでに、三十数年かかったことになる。