指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

マーチじゃなく小唄。

人間小唄 (100周年書き下ろし)
こういう風に書かれると人間ってくだらないなあ、と確かに思う。くだらないことで腹を立て、くだらないことで意趣返しをし、くだらないことで溜飲を下げている。もうちょっとどうにかなんないかと思って、音楽とか映画とか小説とか学問とか、あるいは食べ物とか服装とかいった趣味でも嗜好でもなんでも構わないんだけど、少しでも自分を高めようと思ったりする。うまく行くと少しはましになった気がしてくだらなさを忘れることもできる。でも一皮剥けば結局はくだらないじゃん、といつか気がつく。そしてまたそれを忘れて、みたいな感じでたいていの人が生きているように思われる。
でもくだらないということを忘れないことが大切な気がする。そうして生きて行くことが小唄を奏でることになる。それは作中にもあるように高らかなマーチなどではなく小唄だ。小唄でいいじゃん。上等じゃん。少なくともそこには嘘や衒いや偽善は無いんだから。
というようなことを感じた。やれんよ。