指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

満塁策失敗。

 昨日のプロ野球日本シリーズ第四戦の中継の中で実況のアナウンサーが満塁策失敗とアナウンスしたのが物議を醸しているそうだ。でも実際に満塁策は失敗したのだからそう言われても仕方ないような気がする。タイガース九回裏の攻撃でバッテリーミスがふたつもあって一塁走者を三塁にまで進めてしまった。同点なのでこの三塁走者がホームを踏めばタイガースのサヨナラ勝ちになる。ワンナウトなのでヒットが出ずとも犠牲フライとかスクイズバントとかもう一個バッテリーミスとかでもサヨナラになる。バファローズサイドからすればほぼ絶体絶命のピンチだ。ここでバファローズの中嶋監督は途中まで勝負していたバッターを即座に申告敬遠にして一塁へ歩かせた。このときそういう挙に出るなら次のバッターも敬遠しなきゃ意味がないんじゃないかと考えた野球ファンも多いと思う。バファローズにとって最良のシナリオはダブルプレーをとることだ。だとしたらひとりだけ歩かせて一死一、三塁とするよりふたり歩かせて一死満塁とした方が有利に決まっている。前者ではホースアウトをとれるのが一塁と二塁だけなのに対し後者では三塁とホームベースが加わってホースアウトをとれるベースが倍になるからだ。監督がこういう際に満塁策をとる理由はここにある。果たして中嶋監督は次のバッターも申告敬遠で歩かせた。理屈としては合ってる。ただもしかしたら見落としていたかも知れないのはバファローズのピッチャーが一イニングにふたつも暴投をするほど荒れていたということだ。個人的にはこのワゲスパックという投手については名前くらいしか知らない。でも昨日のゲームに関して言えばほっといてもフォアボールの二つや三つ平気で与えそうな荒れっぷりに見えた。そういうピッチャーにとっての満塁とは即座に押し出しへのプレッシャーを意味する。ただしワゲスパック投手の名誉のために言うなら彼は決して逃げることなく勝負してそして打たれた。押し出しのフォアボールを与えるよりははるかにマシだったと思う。ただ折りからの制球難のためストライク欲しさに甘いボールを投げてしまったそしりは免れない。バファローズの台所事情についてはまったく知らない。でも昨日のワゲスパック投手の状態からすると満塁策をとった段階でピッチャーを交代すべきだったんじゃないかという気がする。もちろんあの状況を堪え忍べるピッチャーなんて他には誰もいなかったんだと言われたらそれまでなんだけど。という訳で中嶋監督が満塁策をとったのはある意味当然だったしそれが失敗したという見方も間違ってるとは言えない。というのが個人的な立場だ。