変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)
- 作者: カフカ,丘沢静也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/09/06
- メディア: 文庫
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同文庫のカフカの短編集を読んでみた。何かすごく明るく正しい話みたいに思われてびっくりした。まるで国語の教科書を読んでいるみたいだ。もちろんカフカの「変身」が明るい話であるはずはないんだけど、以前読んだときはもっともっと暗さが身にしみた憶えがある。新潮文庫版だったと思う。それしか持ってないから。
それで装幀とか行間の具合とか紙の質とかそういうのが読書にとって案外大事なのかも知れないなと思った。編集方針の異なる三つのカフカ全集のどれを底本にするかとかそういう専門家レベルのどうこうを言うよりも、造本の上で近代的均質空間的清潔さ、明るさを強調した方が今の読者には受け入れやすいのではないか。
別件だが「史的批判版カフカ全集」がそれほど大したものなら、全部翻訳して出せばいいじゃん。