家人や子供とはこの一年一緒にいる時間が劇的に増えた。仕事を始めてからは子供も塾に通って来るので夏休みなんかは週最大八時間勉強を見ることになった。実はこの関係については少しだけ心残りなところがある。それはもう数年前から勉強を見てやれればよかったなということだ。今の成績は中の上とか上の下とかそれくらいだけどたとえば小3くらいから今みたいに定期的に見てやれればもう少しなんとかなった気がする。もっともそのためには数年前に会社を辞めて塾を立ち上げる必要がありそれは現実的には不可能なことだったろうけど。
ハロワに通っていた四月頃までは一日のほとんどの時間を家人と一緒に過ごしていた。仕事を始めてからも午前中は近所のスーパーへ買い物に行ったりちょっと遠出したりして一緒に過ごす。午後塾を開けると夕方やって来て漢字の小テストなどの採点を手伝ってくれたりしている。もともと子供には好かれるタイプなのか生徒さんたちのウケもいい。
結婚して十四年経つけど家人と一緒のときがいちばん心安らぐし楽しいので、これでお金の心配さえ無ければ本当に幸せな人生だと思う。とてもひどい人生ととても幸せな人生はひとりの人間の中で両立しうる。それがこの一年で学んだ中で最も切実なことだ。
