指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

ほんとはTシャツがあまり好きじゃないんだと思う。

 前の仕事は倉庫での出荷作業が含まれていたのでそのときは動きやすいようにTシャツを着ていたけど基本的にはTシャツというのが好きではなくプライベートではほとんど着なかった。真夏でもクルーネックの下着の上に半袖のボタンダウンシャツを着るのが常だった。理由はTシャツを着てる人でたまに肌の色とか体型とかが透けていたりするのを見かけると気持ち悪くてああはなりたくないと割に頑なに思ってたからだ。その裏には自分の体型に対する自信のなさもあるんじゃないかと思う。それと不潔な印象を与えることに極度に敏感だということもある。その辺りは掘り下げればもっと掘り下げられるような気もするけどとりあえず今は措く。Tシャツを着るようになったのはほんのここ数年のことだ。きっかけは割に厚手のものが出回り始めてそれなら絶対に肌の色が透けたりしないしだから大丈夫かなと思ったことだ。それで厚手のものを見つけては買って着るようになった。何年か前にグラニフで「11ぴきのねこ」をモチーフにしたTシャツが出てそれは大喜びで何枚か買ったことは一度書いた通りだけど結局着なくなってしまってまだ一度も袖を通さずしまってあるものもある。また一昨年G.U.でピッツバーグ・スティーラーズをモチーフにしたものを買ってこれは随分着て今ではよれよれになって長雨で洗濯物が乾かないときに下着代わりに着ている。このTシャツのこともここで触れた。でもたぶん今でもTシャツというものがそれほど好きじゃないんじゃないかと思う。夏涼しいからとか楽だとかそういう機能面では助かるので着てるけどシャツとしてはボタンダウンシャツがいちばん好きだ。なので今の仕事では一年中ボタンダウンシャツを着ている。冬はギンガムチェックのものを三枚とストライプのもの一枚の合わせて四枚を着回している。夏は今のところ細かめのチェックの色違いの半袖を二枚で回している。
 で何が言いたいかと言うと村上春樹さんはインタビューでもおっしゃるようにTシャツ主体の生活を送られているらしい。最近のお写真を拝見してもそれは明らかで寒い時期でもTシャツの上にセーターかトレーナーのようなものを身につけられており襟のあるシャツ姿というのはあまり見かけられないか全然見かけられない。ふーんなるほどそうなんだなあと思う。おそらく今でも走ることを続けられていて僕のようなだらしない体型ではないのでそういうことがおできになるんだろうと思う。断言してもいいけど僕は七十歳になっても毎日ボタンダウンシャツを着る。時代の差こそあれ同じアイヴィールックに影響を受けながらそういう差が生まれるのは不思議だなあと思う。