指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

急に暇になった。

休日の夕方になると子供が会社に来たがる。こちらも会社に来れば来たでやるべきことがあるのでふたりの利害は一致している。ここ一年ばかり、特に他に用事がなければそんな風に過ごして来た。今日も例によって子供に促されて会社にやって来た。でも考えてみると僕にはやるべきことがない。まったく何もないかと言うとそういう訳でもないが、わざわざ休日に出社してやるほど切羽詰ってはいない。
そういうことはあまりに久しぶりなので戸惑っている。何か大きなことを忘れていて後でツケを払わされるのではないかといった不安がある。でもよく考えてみても何もない。まるで仕事をしないまっさらな三連休になる。
今週はイベントのフォローで丸の内オアゾに四回行った。行くたびに丸善の三階の文庫と二階の単行本のそれぞれ新刊をチェックする。そこでたまたま高橋源一郎さんと島本理生さんとのトークセッションの告知を見つけた。「群像」誌の創刊六十周年記念号を買うと整理券がもらえる。来週の火曜日の午後7時からで行って行けない日時ではない。ちょっと迷ったけど結局買って帰って来た。
「群像」なんて買うのは何年ぶりだろう?僕は基本的にどんな雑誌も読まない。特に文芸誌は読まない。中上健次さんが、文芸誌なんて読む奴はろくなもんじゃない、と言っているのをどこかで読んだせいにしているが、本当は雑誌というもののあり方があまり好きじゃないのだと思う。暫定的過ぎて信用ならない気がする。余計な情報が多く保存しておくスペースがもったいない。
今回の「群像」は短編小説の特集で、通しで読んでもおもしろそうな気がする。とりあえずトークセッションまでに島本さんの作品は読んでおこうと思う。まだ読んだことがないからだ。