指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

発熱。

一昨日の午後から徐々に喉が痛くなり始め夜に入ると喉が完全に腫れあがった気がした。会社からの帰り道の数分で冷えたのか帰宅してからひどい悪寒で歯ががちがち鳴った。こたつにすっぽり入り込んで悪寒に耐えていたが家人に熱いほうじ茶をいれてもらい二杯飲むと少しは収まった。そこで無理して夕食を食べベッドに移って本格的に悪寒に備えた。喉は相変わらず腫れあがっており切開して膿を出すか特殊な冷却器を患部に当てて感覚がなくなるまで冷やすかしたいというイメージが繰り返し思い浮かぶ。そうすれば悪寒も熱も引いて行くような気がする。熱が上がるときにいつも浮かぶイメージだ。部屋の温度が低いからか熱はなかなか上がりきらずだから悪寒もなかなか去らなかった。それでも二時間すると熱は38度5分まで上がり、悪寒も治まった。家人に頼んで濡れタオルを温めてもらい清拭をするとかなりこざっぱりした気分になった。でも眠気はなかなか訪れなかった。
その晩はぴったり三十分おきに目が覚めてうまく眠ることができなかった。同じテーマのいやな夢を繰り返し見た。返品作業をする夢だ。金額を確かめ数を数えて品物毎に区分して箱に収める。見る度に金額は変わっているし、数える度に数量は変化した。シーシュポスの神話みたいだ。切りがない。切りがないということがわかると目が覚める。時計を見るとさっきからちょうど三十分経っている。そしてまたうとうとする。また同じ夢を見る。何か他のことを考えたいのにそのことばかりが気にかかる。
朝になると体温は37度に下がったが喉の痛みは相変わらずで何かを飲み込むと切り裂かれたように痛む。食欲はあるので朝食を苦労して済ませ出社の前に最寄りの医者へ寄った。またインフルエンザの検査をされまた陰性だった。カルテを見ながら医者が、ここ数ヶ月毎月一度ずつ喉が腫れているがそんなに忙しいのかと尋ねた。よくぞ尋ねてくれた、と思ったがそんなことないんですけどと答えた。
この医者の処方してくれる薬は本当によく効いて、午後は三軒の得意先に年末の挨拶に行った。会社に帰ると、顔色が悪いから早く帰れと上司に言われたが結局定時まで会社にいた。それで今年の仕事が全部終わった。と思っていたら。
子供が描いたねずみの絵と「あけましておめでとう」の文字をスキャンして年賀状に使おうと思い今日は午前11時頃から会社にいた。うちにはスキャナーがないからだ。すると宅配の業者がやって来て、返品が65箱ある旨を述べた。仕方がないので荷受けしてしかるべき場所に収めた。それは繰り返し夢に見た分の返品だった。