指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

新型インフルエンザ?

高崎に出張していた金曜日に家人からメールが入り、子供が熱を出したと言う。仕事の合間に電話すると38度を越えているということだった。少し前にも子供が熱を出したことがあって、そのときはいろいろな兆候から見てインフルエンザとは思われず、静かにさせておいたらすぐ治った。それがぶり返したのかも知れないし、新たに何かに罹ったのかも知れなかった。そこで家人が子供を医者に連れて行ったら検査結果は陰性だったが、発症から検査までの時間が短すぎることなどを考慮に入れると完全に白とは言い切れないので、抗生物質が処方されてそれが効くなら風邪ということで決着、効かなければ疑わしいので再度受診ということになった。ちなみにひとりがひとつの検査機関で二度インフルエンザの検査をすると二度目は高くつくということで、再検査は他の病院で行った方がいい旨が伝えられた。そんなことがあるんだね。あと、ひと頃喧伝された「発熱外来」を通す必要は今はなくて、予め病院に電話で連絡すれば診療を受け付けてもらえるということだ。
その夜は抗生物質を飲んでも熱はまったく下がらず、翌朝には39度を越えた。明らかに風邪ではなさそうなので土曜の午前中に電話連絡の上前日とは別の医者で受診したら、検査結果はそれでも陰性だった。医者は学童保育に通わせているかと尋ねる。うちは家人が専業主婦なので、学童保育の対象からははずれているが子供が大好きなので近くの児童館にはよく行かせる。学童保育は児童館で行われている。その学童保育からインフルエンザが流行り始めているらしく、だとしたら子供が児童館で感染した可能性は充分に考えられた。検査は陰性でもこれはインフルエンザだというのが医者の所見だった。でも幸い症状は軽い方で、タミフルリレンザを処方しなければならないほどではない。結果的には、よほど熱が高いときだけ解熱剤を飲ませることになった。二日間で熱は下がり、下がってからさらに二日で外出してよい。親に感染することについてはなんとも言えないが、必ず感染するものでもないということだった。
熱は終日38度台を行き来していた。元気が無くずっと氷枕に頭を横たえたまま時折うつらうつらしていた。ゲーム機を与えてもちょっと遊ぶだけでつらいのかやめてしまう。昼も夜もほとんどものを口にしなかった。水分だけは気をつけてとらせるようにした。夕方、ごめんね、ごめんね、とやけにはっきりした大きな声で何回も僕を呼ぶので、なに、どうした?と尋ねると、うつろな目でよく聞き取れないことをもごもご言ってそのまま眠ってしまった。脳炎の可能性を示唆されていたのでこのときはかなり恐かった。僕も体が弱くて40度を越える熱が出、天井を見上げてあのくるくる回る星をとってくれと親に頼んだことがあるらしい。お前の脳細胞の大半はあのとき死んじゃったんだと親は笑うが、それは親にとっては本当に恐ろしい体験だったに違いない。夜に入ってまた39度台になったので解熱剤を飲ませると、しばらくして楽になったのか眠った。夜中に水を欲しがったり嘔吐したりしたらしいが、別の部屋で寝ている僕は知らず家人はすごく大変だったとうらめしそうに言った。
今朝、熱は37度台まで下がった。相変わらずあまり食べないが少なくとも昨日に比べるとすごく元気で、ゲーム機を与えるとずっと遊んでいる。普段は時間制限があるので時間を気にせず遊べる今日は、むしろ大歓迎かも知れない。1時半からMXTVでホークス対ファイターズの試合中継があったので見せた。大好きな小久保選手が打った他、杉内投手の名前をはっきり憶えることのできた試合だったらしい。夕方になって熱はまた38度台に入った。それでも家人が今日買ってきた新しいゲームソフトで長いこと遊んでいる。夕飯は松屋の牛飯が食べたいそうだ。