指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

生活をとる。

変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫)

変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫)

すごくおもしろい本を読んでいるんだけどそれについては読み終えてから。
これって「奇抜の人」の改題の文庫版だった。それなら持ってるし読んでる。吉本隆明さんのコメントだけ再読したら、埴谷さんは観念をとったけど自分はそれくらいなら生活をとる、という意味のことが書いてあった。観念と生活は全然対立しない二項のようだけどジョイスの「ダブリナーズ」について書いたときの自分と生活ということも同じだしトニオ・クレーゲルの芸術家と俗人も同じことを言ってるしラスコーリニコフの殺人理論も同じだ。少なくとも自分の位置からはそう見える。
すごく自分に引きつけて言うなら、家人や子供と過ごす時間以上に重要な意味を、読書その他に置くべきではないということになる。今読んでる本の中で言われる「原理主義的」という言葉ともそれはつながっている気がする。いずれにせよ僕もどこまでも生活をとる。確かに一旦はそれを手放したつもりだったんだけど。