指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

お金の話が一日に二件。

午前中信用調査の機関と金融機関から相次いで電話があり、申し込んでいた開業資金を満額貸してもらえることになった。最初は自己資金だけで開業しようと思っていたのを少しでも借りられるのなら借りた方がいいとアドバイスしてくれたのはS.Sで、理由は資金がショートしてくると目先のことにとらわれがちで、目先のことにとらわれた措置というのは適切とは言い難いことが多いから、ということだった。彼自身ほんの数年前に開業したばかりということを抜きにしてもその言葉には説得力が感じられた。それで融資のために動き始めてから今日までに二ヶ月半がかかっている。満額と言っても自動車をローンで買うくらいの金額だが、この先事業がかなりの下降線をたどったとしても持ちこたえられる時間が随分延びる。ありがたい。
午後になって例によって塾で電話番をしていると電話が鳴ったので入塾の問い合わせかと喜び勇んで出たらハロワからだった。失業給付を満額もらわずに就職すると、本来支払われるべき残りの給付額の何割かが再就職手当として一括でもらえるのだが、その手続きは先月末に済ませていた。僕の場合は再就職でなく開業なので、正確にはそのせいかどうかは知らないけど、一ヶ月後に実際に業務が続けられているかの審査が入るということだった。そのための電話で業務が継続して行われていることを証明するいくつかの書類を持参するといよいよ再就職手当がもらえるらしい。これも金額で言えば数十万なんだけどとても助かる。生徒は若干名獲得したと言っても今月の収入はほんの数万円に過ぎない。
別々に進めて来た懐の温かくなりそうな話に、両方とも今日一応の結果が出たことになった。ここ一年ばかりそよとも吹かなかった追い風の、かすかな先触れだといいんだけど、と思っている。