指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

中1の女の子に本を選ぶ。

中1の女子生徒が近く誕生日で、何かプレゼント下さいと言う。僕のプレゼントは本だよと言うと本以外は駄目なんですかと尋ねるので駄目と答える。すると首を傾げてまあでももらわないよりいいから下さいとぶっちゃけた返事をする。でも前に書いた、娘を持つ父親の気持ちを少しだけ疑似体験させてくれるのがこの子なので、プレゼントすることにして本屋さんへ出かけた。
中1の女の子に本をプレゼントするとしたら何にしますか?相手は多少は本も読んでいてミステリーが好きらしくて一度重松清さんの「流星ワゴン」の話で盛り上がったことがあります。
いろいろ考えたんだけど特にこれといった理由もなくポール・ギャリコの「ジェニィ」がいいんじゃないかと思った。主人公が猫になっちゃうファンタジー。好きで何度か読み返した憶えがある。でも新潮文庫の棚にはそれは置いてなかった。次に、北杜夫さんの「さびしい王様」はどうかと思ってそれはあったんだけどちょっと分厚い気がした。あまり根気のある子じゃないので挫折しそうだ。村上春樹さんの「回転木馬のデッド・ヒート」や「カンガルー日和」も考えたけどどちらにも性に関する記述があって塾の講師が中1の女子生徒に贈るにはなんとなく差し障りがある。じゃあ「はじめての文学 村上春樹」がいいんじゃないかと思いついたけどこれも置いてなかった。それほど大きな本屋さんじゃないので。ドストエフスキーの「貧しき人々」も考えたけど無かった。ミステリーはあまり読まないので知らないしな。と困り果てて結局一回戦は無念の敗退。やっぱギャリコの「ジェニィ」買って来よう、どこかで。