指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

後悔。

 子供の合格が知らされた日に母親に電話してそのことを報告した。合わせて本人はその大学にするかどうか迷ってるらしいという話もした。母親はせっかく受かったんだからそこに行った方がいいんじゃないかと言うしそれは僕も同じ意見だった。○ちゃんはなんて言ってるのと家人の意見を聞くのであの人はどんな場合でも子供の意見に賛成なので子供がこうと言えばそれを受け入れるだろうと答えた。すると○ちゃんにもそっちの大学を押してもらえるように言った方がいいんじゃないのと言う。それに関してはちょっと無理なんじゃないかと思う。家人はとても意志の強い人だから。でも母親にはそのことは黙っておいた。
 翌日つまり昨日のことなんだけど朝の早いうちに母親から電話があって一晩考えたんだけど本人の好きな道に進ませてあげた方がいいんじゃないかと思うと言う。お前のときも上智の文学部に行かせてやればよかったかも知れないのに早稲田の方がいいと言って向いてないところへ行かせてしまったかも知れない。そのことは後悔してるので今回の場合本人の意志を尊重した方がいいと思うと言う。そんな風に思ってるとは全然知らなかったのでこれにはかなりびっくりした。でもお母さん、同じことが百回あったら僕は九十九回は早稲田を選ぶよと思う。上智もいいかなと一回くらいは思うかも知れないけど。だからお母さんが後悔することないんだよ、全部僕ひとりの責任。
 子供が合格したのでお礼参りにいつものお稲荷様にお参りしたいしブックオフで高木さんの安いのを探したいしユニクロで村上Tシャツの売れ行きも見たいしだから最寄りのJRの駅まで行こうと言うとなんだかすごく楽しそうねと家人が言う。なるほどそう見えるか。別に特に楽しい訳でもないんだけど。まあ子供の合格は最高にハッピーで気分が上がってるから普段より元気そうに見えるのかも知れない。長袖のTシャツの上に「海辺のカフカ」のTシャツを着てネイビーブルーのステンカラー・コートを羽織って出かける。
 お稲荷様ではいつもより多めに賽銭を入れてお参りしブックオフでの高木さんは空振りし(コミックなんて滅多に買わないので高木さんがどこにあるか探し当てるまでにものすごく時間がかかる。)ユニクロでは村上Tシャツの売れ行きをチェックした。特に売り切れてるようには見えなかった。ただピンバッジは完売していた。それから子供の好きなヒラメのエンガワのお寿司を買い夕飯の買い物をし帰りにほっともっとで家人が前に食べておいしかったと言っていた海鮮天丼をふたつ買ってゆるゆる歩いて帰った。通り過ぎる道沿いや公園の桜はまだつぼみの木からもう七分咲きほどに見える木まで様々な開き方をしていた。帰宅後シャワーを浴び例によって一杯やってからお昼を食べて昼寝。土曜日は今は夜の授業がないので午後だけ二時間半授業をする。休日三人一緒に夕飯が食べられるときはまいばすけっとで売ってる安いマグロのお刺身を子供とふたりで分けて僕は晩酌するんだけどお刺身を買い忘れたので買ってから帰宅。子供の身の振り方はまだ結論が出ていない。