指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

無事合格3。

 2月27日に書いたバイトの女子学生と今日同じシフトで聞くと第一志望の会社から内定をもらったということだった。よかった。この春は僕の周りにいる受験生とか就活生とかが全員合格した。塾の生徒さん、まーさんの娘さん、この女子学生、それにうちの子も進級できた。本当によかった。
 今日は午前中バイトで別の部署の仕事を朝から二時間するはずだった。そしたら学生さんがひとり急に来られなくなったそうで一時間で切り上げて残りはいつもの仕事をした。帰る途中に結婚指輪をしてないことに気づいたけど仕事へ行く前に家ではずすこともよくあるので家にあるんだろうと思って帰ったらなかった。仕事着のポケットに入れ忘れたらしい。あわててとって返して仕事場の洗濯かごに入れてある脱いだばかりの仕事着を探ったら見つかって随分ほっとした。アクセサリー類は身につけてはいけない仕事なので指輪ははずすことになってる。でもこのままつけたりはずしたりを繰り返していてはいつかなくしてしまう気がする。何か対策しないと。
 例によって一杯飲んで昼食をとって昼寝した後塾へ行くと今日来る予定の唯一の生徒さんの親御さんからメールが来て休むと言う。もう少し早く教えてくれればなと思うけどまあそれは仕方ない。ぽっかり時間が空いてしまった。家人にLINEすると帰って来ればということだったけどやることもない訳ではないのでそれを済ますことにする。この時期はコピー用紙をすごく使うのでなくならないように買いに行く。今日からバイトが六連勤なので買いに行く暇がほとんどないから。500枚のパックをふたつ歩いて10分あまりのいつものスーパーで買う。あったかいのでパーカを脱いでボタンダウンシャツで行く。そして今年初めてのスポーツサンダル。日も随分長くなっていきなり春めいた印象だ。気持ちいい。それを教室に置いてから他にも欲しいものがあってスーパーとは真逆の方向の駅前へ出かける。夕刻の風景がなんだか目新しい。本来なら授業をしていなければならない自分がパラレル・ワールドに踏み込んだような不思議さがある。行き交う人たちの姿も春の夕空も灯り始めたイルミネーションも僕が通常の日常の中にいたなら目にするはずのなかったものだ。そう思うと自分が束の間すごい自由を手に入れたような気もする。悪くない。
 買い物を終えて塾に戻ると残された時間はもうそれほどない。7時には帰るよう家人に言われている。CDプレイヤーで80年代の洋楽を流しながらまとまったことは何もできずに時間をやり過ごす。明日は昼寝抜きで午前も午後もバイト。でも確実に春が来た。悪くない。全然悪くない。