指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

うっちゃんの結婚。

 同棲してる彼氏にうっちゃんがプロポーズされて来月2日に入籍することになったそうだ。いつか話してた迷いみたいなものは無事に解消できたんだろうか。そうだったらいいのにと思う。そして幸せになって欲しいと思う。
 朝起きると右のひざに痛みがあって歩きづらかった。バイトを休むか迷う。休めば他の人に迷惑をかけてしまう。とりあえず塗り薬を塗り痛み止めを飲んで様子を見る。少しして行けそうな気がしたので出かけそのまま普通に仕事をした。金曜日は仕事の量もお客さんも少なくて割に楽だ。明日は混み合う土曜日だけど別部署の仕事が二時間半入ってる。どちらかと言えばそれってラッキーなんじゃないかと思う。ただせっかくひろたんと組める日なのに僕が本業に戻るのと同じタイミングで彼女は早めに上がってしまう。そこはアンラッキーなんじゃないかとも思う。ちょっと早めに出社してお客さんが来る前に話でもしようかな。ある企業の最終面接に今週の水曜日行ったはずでそのことも気になるし。
 授業の合間に時間が空いたのでちょっと買い物に出かけたら向こうから自転車を押しながらやって来たいくつくらいかなあ、四十くらいかなあ、の女の人に、すみません、自転車のことに詳しかったりします?と突然声をかけられた。別に特に自転車に詳しいということもないけど困ってるみたいなんでどうしたのか尋ねるとチェーンが外れてしまったみたいなので自分で直したつもりなんだけど少し走るとまた外れてしまうみたいなことを言う。見ると確かにチェーンが外れている。それくらいなら直せると思って手で引っ張ってみたら幸いあっけなく元に戻った。大丈夫かどうかちょっと乗ってみて外れそうもなかったので下りて自転車を返す。礼を言って去って行ったんだけど普通そういうことを見ず知らずの人に頼むものなんだろうか。やや理解に苦しむ。指は黒い油で汚れていたけどまあ仕方ない。いいことをしようなんて思ったのがいけない。