指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

「MOTHER」か「MOTHER2」か。

 もしも来週体験授業で生徒さんがふたり成約になったらこの前渋谷の「MOTHERのミュージアム」で見たレプリカスクリーンをひとつ買っちゃおうかと思っている。いちばんちっちゃいのなら毎月払ってる健康保険料とほぼ同額で買えるからだ。この健康保険料は今年になって急に一万円も上がってつまり年間で十二万円負担が増えた。そんなの払ってるおかげでちょっと気に入ったものを買うのを我慢しなければならないというのがすごくすごく気に入らないからだ。意地でも買わなくちゃ。ただしせいぜいが一個しか買う余裕はないのでどの絵柄を買えばいいのかが悩みどころだ。実際に見て気に入ったのは「オネット」か「ウィンターズ」の景色のものだった。前者は本当に「MOTHER」シリーズの街らしい雰囲気を伝えてるし「ウィンターズ」はBGM含めてとても美しい村だからだ。でも本当に買おうと思うと疑問が生まれる。と言うのは「オネット」も「ウィンターズ」も「MOTHER2」に登場するからだ。果たして「MOTHER2」でいいんだろうか。自分は「MOTHER」と「MOTHER2」のどちらがより気に入ってるんだろうか。という普段ならまったく悩む必要のない疑問が湧いてくる。どちらの作品でも物語の最終章をこじ開けるキーになるのが「エイトメロディーズ」という曲だ。ところがこれらは同じタイトルなのに一作目と二作目では異なった曲になっている。そのどちらが好きかと言うとこれは迷う余地なく一作目のものということになる。二作目の「エイトメロディーズ」もいい曲なんだけど一作目のものの完成度はちょっと別格だ。展開にまったく無理がない。そしてある種の手で触れられるような形を持った情緒をきちっと伝えてくれる。優しさと・・・後はなんだろう赦しみたいなものを。更に過不足というものがない。完璧に完成されている。この曲一曲だけとっても「MOTHER」に軍配が上げられそうな気がする。それからキャラクター。個人的に一作目で最も印象に残っているのが「イヴ」という名のロボット。二作目ではもちろん「どせいさん」。両者を比べるとどこまでもユーモラスな後者に比べて前者は悲劇の装いをまとっている。もちろんユーモアより悲劇性の方が価値があると言いたい訳じゃない。キャラクターとしてはユーモラスな「どせいさん」の方が優れてるのかも知れない。なんて言うか他ならぬその悲劇性に頼ってない点で。でもやはり「イヴ」にはどうしようもなく泣かされてしまう。今こうしてても思い出すと涙ぐめるほどに。そうなると心に突き刺さる強度でどうしても「イヴ」の方が上に思われてしまう。という訳で僕は「MOTHER」の方をより大切に思っていると言って間違いなさそうだ。「MOTHER3」はどうしたんだという疑問は自らの中では却下されている。
 だとしたらレプリカスクリーンも「MOTHER」のシーンから選ぶべきなんじゃないだろうか。「MOTHER」のシーンは「サンクスギビング」の街かうまく説明のできない夢の街「マジカント」かダンジョンの「ホーリーローリーマウンテン」かのどれか。なんかもう結論は出てる気もする。でも念のため来週か再来週また「MOTHERのミュージアム」を見に行って最終的に決めたいと思っている。