指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

やりがい。

 夏休みが終わるとバイトは通常の仕事に戻る。夏休みの間だけ別のプログラムが組まれていたとでも言えばいいだろうか。そのプログラムにやっと慣れたかなと思ったら九月の訪れと共に元に戻るといった感じでその頃にはもう通常の方のスケジュールをあらかた忘れてしまっている。まあスケジュールの書かれた表をきちんと読み込めば何時に何をすればいいかわかるようにはなってる。ただなんでもそうだけどそういうのを読んで理解するよりも口頭で指示を受けた方が楽だ。だから先輩のバイトからもこれどうするんでしたっけとか尋ねられることも多い。個人的にはそういうところ割に完璧主義なのでスケジュール通りきっちり動けないと気が済まない。木曜日は月曜日に次いでそうした手はずが複雑な曜日なんだけど他のふたりに指示を出しつつ時間内にやるべきことをすべてやりきることができた。学生さんのバイトの中にはひたすら楽な方がいいと考えてる人も多いみたいだ。でも今日みたいに何もかもをスムーズに運べるというのが僕なんかには仕事のやりがいと感じられる。そしてそういうのって一回社会人を経験してみないとわからないのかなとも思う。ただしこの場合自分の感じ方をそのまま肯定していいかどうかは本当はよくわからない。楽な仕事の方がいいじゃないかという考え方がいつでも必ず間違ってるという根拠はないからだ。もしかしたらそういう考え方の方が正しくて僕のように仕事にやりがいを求めたりすることの方が間違ってるのかも知れない。という訳でどちらが正当なのかという形而上学的判断はひとまず保留にして自己満足に過ぎないと割り切りつつ日々バイトにやりがいなんかを求め続けている。笑わば笑え。